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現代社会をシミュレーションした小説を書いております。
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 前編よりあらすじ:DMC(デトロイト・メタル・シティ)のコンサートの実態を見て顔を顰める月島きらりと少年の二人。同じ頃、きらりと同じ芸能事務所に所属するランカ・リーは親友の松浦ナナセとコンサートを見に行き、DMCを反面教師にしてアイドルの道を進む事を決意した。 その翌日、舞台となったマリナーポートガーデンで自殺に見せかけた殺人事件が発生、ジョーンズ親子と弟子達、更にはGINの財前丈太郎が動き、ランカは事件を知って震え、メール相手であるブルックに助けを求めた。 一方、ダークギースに拉致された門屋士達は東京の埠頭で殺されそうになるも拉致現場を目撃した浅見光彦からの通報を受けたGINと警察によって救出され、ダークギースの面々は銃撃戦の末、エドワード・ニグマ達の応援によって逃げ去った…。
 

「マボロシクラブのボスの摘発に成功しました」
 椎名鷹介がニコニコ笑って入ってきた。マボロシクラブの一ノ瀬優がホストを通して麻薬黄色い馬や覚醒剤シルキーキャンディを売りまくっていた。しかも、スポンサーの中王新重会の中城剛毅総長が支援していた。この事を町田リカが証言したためにマボロシクラブの摘発につながった。サーガインが安堵の表情だ。
 「そうか。奴らの証拠はしっかり押さえた訳だね。竹内清宝の完落ちに続いて快調ですね」
 「押さえているさ。ヒロの注文は厳しいからな。左に言われて何もしないわけにはいかない」
 「公権力乱用罪の使用条件は満たされています。後はサウザーとのつながりです。ゴリラのスターリング捜査官の連絡から財前さんがDMCの殺人事件を捜査しています。後は二代目とスチールに頼みましょう」 「DMCはそれにしてもどうにもならない輩だな」
 呆れ顔の和服をまとった老人。元やくざの左善五郎である。ゴリラ川崎署の永井仁清警部とは知り合いで偽善を嫌う。きらりが話す。
 「凄まじく、とにかく殺せとかレイプや八つ裂きという言葉がバンバン飛び出てましたよ。イヴァンさんがいたら頭を抱えていましたよ」
 「やってられないよ、そりゃ」
 「子供だねぇ。あの光景は最悪だ。ルナ、そうだったろ」
 小津芳香、スティング・オーグレーが呆れている。ルナマリアはスティングにうなづく。二人はサウザーについて調べた結果を報告するために来たのだった。
 「PV見たけど、ブリーフ一丁で旗を振る老人に腰を振って煽る若い男。もう、あんなにあおるなんてヒド過ぎね」 「奴らの詳細を突き止めなければなるまい」
 「調べてきました。デトロイト・メタル・シティ(Detroit Metal City)はインディーズ界でカリスマ的人気を誇る悪魔系デスメタルバンドで、メンバーはヨハネ・クラウザーII世(Gt,Vo)、アレキサンダー・ジャギ(Ba,Vo)、カミュ(Dr)の3人です。デビュー初期よりその悪魔的出で立ち、パワフルで世紀末的な曲と阿鼻叫喚を呼ぶ過激なライブパフォーマンスで話題になり、デスメタル界の伝説的帝王、ジャック・イル・ダーク始めその人気を快く思わないバンド、アーティストからよく対バンを申し込まれるも、逆に尽く勝利しまた熱狂的な信者の間でクラウザーII世を中心とした数々の"伝説"が実しやかに語られ、彼等の中には時にゲリラライブ中に止めに入った警官に暴行したり、ライブハウスを全焼させる等、実際に罪まで犯しているんですが、何故か逮捕される事無く現在まで活動を続けています」
 「イワン、奴らの周辺捜査と同時にバックスポンサーを調べるんだ」 
「了解!」
 「それと、ハインリヒに連絡を取ってオーブの警備体制を強化するように。横須賀の殺人事件は背後にサウザーが絡んでいるな」
 「そのサウザーについてしらべてきたぜ」
 「彼は確か、ドイツからのスペイン系の移民の子供だったな」
 「クライヴ・ロペスの子供でした。アフリカで衣料品を製造して輸入するユニシアマックスという会社を立ち上げて成功し、次々と不振企業の再建に辣腕をふるったようです。最後に立ち上げた銀行が悲劇でした」
 「三栄銀行、確か難波銀行に吸収合併された東京の中堅銀行だったな」
 「経営破綻して吸収合併され、クライヴは債権者に追いつめられて過労死したんです。サウザーはオーブのオウガイ老師に引き取られたのですが、またしても崩壊を目の当たりにしたようです」
 「そうか、なぜサウザーが権力にこだわるか何となく分かってきたぞ。権力を得る為なら手段を選ばない。絶対的悪とは言えない」
 「その後に当時チェーンハドソン銀行の社長だったマクラーレン副大統領に見初められてシャロン・マクラーレンと一緒に学業支援を受けて東大法学部卒業後に総務省に入省してからオックスフォード大学に留学してイギリスの弁護士資格を取得したそうです。伊達、陣内は苦しむのも無理はありません」 
「相当な切れ者だな。だが、やりがいがある」
 「その後にザウバー疑惑です。オルバ・フロストが社長に就任したばかりの新時代出版社に関東連合下院議員でのフランチェスコ・デニス前社長とつながっていたサウザーは偽名で父親や義理の父親を貶めた輩のスキャンダルを流して資産を激安で買いたたき、脱税疑惑などで打撃を与えて貧困を苦にほとんど自殺に追い込まれた事件です。しかも、チェーンハドソン銀行の系列保険会社であるマンハッタンによる保険金まで掛けられていました」
「またアメリカが圧力をかけたな。ではロンとの繋がりはどうなんだ」
 「ロンは自民連党首のサウザーに政治資金の提供を条件に単なるインターネットプロバイダーだったマードックに銀行融資を得られるように圧力をかけさせたそうです。難波銀行は関東系の東洋銀行と合併して三洋銀行になる事が決まっていたので渋かったようでしたが融資が決まり、通信会社の買収に成功したそうです」
 「喪黒兄弟とのつながりはどう説明する」
 「小笠原諸島のアメリカからの移民自治区ウィンランドの再開発で開発から販売まで独占市場にしようと福次郎がサウザーにすり寄ってきたそうです。サウザーは独占を認める代わりに喪黒福造と接触し、バイオ産業とのつながりを得たんです」
 「バイオ産業の利益は莫大だからな」
 「死に体企業のミサワ紡績を買収した喪黒福造は買収の直接部隊だったリブゲート出版を合併させてリブゲートにしたようです。しかもその後食品メーカーを買収していった際にはサウザーを使っています」
 「ううむ、相当食い込んでいるな…それだけ力が欲しいわけか…」


   一方、ある寂れたビルの一室では…。
 「もう、俺はやってられない!」
 マッシュルームカット・痩せ型のいかにもひ弱そうな"ゴボウ男"と揶揄される外見の根岸崇一(ねぎしそういち)が叫ぶ。大学進学で大分県大野郡犬飼町(現豊後大野市)から上京してきた、暴力的な事を嫌う穏やかで心優しい青年がフレンチポップスやスウェディッシュ・ポップをやりたいのに何故かデスメタルのヨハネ・クラウザーII世になっている。
 「頼むよ、明日ロンオーナーに方針転換を求めるから、やってくれよ」
 ボンテージファッションで筋肉剥き出しの男が宥める。彼はグリという。相方のグラと根岸を宥めなければたまらない。実家の農作業を手伝っていた為、牛の世話や椎茸栽培用の薪割りや草刈り、トラクターの運転など、高い農作業スキルを持ち、体力はそこそこあるからだ。
「そういうなら、俺も自前のバンドでメジャーデビューしたい!」
 根岸のミルクティーを飲んでいた和田真幸(わだまさゆき)が言い出す。外見はイケメンだがDMCではアレキサンダー・ジャギ(Alexander Jagi)なのだ。中分けしたロングヘアー、白塗りの顔、全身タイツの背中にデビルマンのような羽、という出で立ちである。口から炎を吹くパフォーマンスを得意とし、ライブ中で多用するため熱いファンから「焼き殺してー」という物騒な声援が入り、やりすぎてしまいライブハウスを全焼させた事がある。他にも火のついた松明でのジャグリングや側転なども器用にこなす。 メンバー中唯一素でもロッカー気質かつ常識人で、女の事となると気がきく細身で長髪のバンド青年なのだ。一見お調子者だが、ビッグになるという夢の為に、日々ベースを指が動かなくなるまで練習するだけでなく、新しいステージパフォーマンスの研究の為、公園でジャグリングの練習をするなど努力家の一面も持つ。自前で「ジャギ With エメラルドファイア」という名の、ビジュアルを意識したバンドを持っている。 菓子をボリボリ食べていた眼鏡に豚鼻、背が低く小太りの西田照道は黙っている。服装はトレーナーをケミカルウォッシュジーンズに入れている。非常に口数が少なく、ボソボソした小声だが大変な毒舌家で、メンバーに対しても「能ナシが」「黙れカス」等、刺激的なセリフが多い。また、女性に対しては卑猥な言葉しか話さない。DMCではカミュ(Camus)として逆立てた金髪のフルウィッグにピエロを連想させるマスクを着用する。ライブハウスが火事になって燃え盛る中でも避難もせずにドラムを叩きつづけるなど、本来小心な根岸や常識人の和田と異なり、相当肝が据わっている。 根岸は黙り込んだ。基本的にクラウザーII世としての行動を自己嫌悪しているからライブ後の打ち上げにもほぼ顔を出さないが、DMCのメンバー達との信頼関係は厚く、他のライバルとの対バン等を通じアーティストとして純粋に対抗心を燃やす等、本質的には熱い「バンド野郎」だ。
 「そりゃそうだろうに」
 デスレコードの事務職の梨元圭介が呟く。普段は手紙は達筆の腕前だがDMCコンサートではライブでクラウザーII世に舞台上で暴行を受けて悦ぶM男役のパフォーマーである。
 「あの時私が騙されなかったらこんな地獄にならずに済んだのに」
 デスレコーズ社長の江崎文江がボヤく。その格好も金髪で皮ジャンにミニスカート。「ユー達」等英語交じりの妙な喋り方をし、「怒りでコカンがヘソまで裂けた」など、突飛な発言が多い。また、臍ピアスをしていたり、タバコの火を自分の舌に押し付けて消すほか、昼間から飲酒や喫煙をやっていて、生き方そのものがデスメタルを地で行く恐ろしい女性なのだが、それが根岸達の悲劇につながっていた。
 「ロンオーナーよりお電話です」
 新人歌手のロザドニエゴリ・ボサラバロドスがボヤく。 江崎は恐怖にひきつった顔で電話に出る。
 「もしもし、お電話代わりましたが」
 「昨日コンサート会場以外に余計な場所に出入りしませんでしたか?」
 「いえ、全く」
「それなら結構ですが、余計な真似をしたら後始末させます。分かったでしょうか」
 「はい、あの連中みたいにはなりません」
 電話を切ってため息をつく江崎。
 「社長、あいつからですか」
 「そうよ。アイツさえいなかったらここは天国なのに!!」
 ナーフ・ミュージック・エンターテイメントからスカウトされて大手との販売網を構築した品川勇次にボヤく江崎。DMCのプロデューサーを務める「帝王」ジャック・イル・ダーク(Jack ill Dark)でも渋い表情だ。 過激なパフォーマンスで有名なブラックメタル界の帝王で代表曲は「ファッキンガム宮殿」という。しかもドラッグ、レイプ、暴力事件などで数多くの逮捕歴があり、大変な危険人物にして生まれながらの犯罪者だった。今は主にジャズを演奏している。その彼ですら渋い表情だ。 ケニー・イル・ダーク(プロジェクト・イル・ダーク(PID)代表取締役)が険しい表情だ。
 「クゥーン」
 悲しげに子犬が根岸に近寄る。彼が飼っている愛犬メルシーである。
 「悪いな…。こんなひどい状況で」
 
 「兄貴、早くDMCを止めてくれよ!俺はなにも出来やしない!」
 毎晩根岸の携帯電話に弟の俊彦から電話がかかってくる。
 「俺も話しているけどオーナーが反対している」
 「お袋も嘆いていたぜ。クソッ、あのロンの馬鹿野郎!」
 根岸の母啓子は度量の広い性格だがロンのやり方を許さない。東京で一人暮らしをしている根岸を何かと心配して、しょっちゅう野菜や米、吉四六漬けなど食べ物や手紙を送ったり、電話をかけてきたりしている。少し心配性な、どこにでも居る農家の母親である。
 「姉貴が今GINとアポを取っているけど、これではなにも出来ない。全てあの喪黒の野郎が悪いんだ!」
 

  「もっと煽れもっと煽れ!!これで金儲けに結びつけろ!」
 とある秋葉原の一室では男がガツガツと檄を飛ばす。苦笑するロン。ファイル交換ソフト『アシュ』を売り出し交換費用として一回十円で稼ぐセコセコぶりだ。
 「しかし、社長俺らにここまでやらせてガッポリ儲けるとはやりますねぇ」
 「あなた方クエスターでなければ出来なかったのだから、ありがたいものですよ」
 三人はニヤリとした。オウガ、ガイ、レイは仲間のヒョウガに誘われてロンの危ないアルバイトに参加していた。ヒョウガが高丘に諭されて脱出した後も彼らは金欲しさでDMCのファンサイトを運営していた。
 「では、YASUと最後に打って、これで終わりだ」
 このサイトではシルキーキャンディまでもが付属の電子掲示板で水面下取り引きされていた。もちろんロンはそれを承知だ。その取引にアシュが使われていた。
 「次は日仏メタルバンドですか」
 「そうです。大いに煽ってフーリガンどもを喜ばせるのです」
 彼らの机にはポアゾン&パイパニック・チェーンソーというバンドの出したCDがあった。彼らは大型チェーンソーを振り回し、卑猥なパフォーマンスが行われていた。暴力的かつエロチックなバンドをDMCのライバルに仕立てて煽ってストレスに漬け込み、麻薬販売に持って行くのだ。レイ(ボーカル)とリードボーカル&ギターのアルドが確かなテクニックで炸裂させるスラッシュメタルは、日仏でも絶大な人気を誇る。
 「シャーセ、あのソフトは入手できましたか」
 「できました。あれで我々の素晴らしき世界が生まれますからね」
 シャーセと呼ばれた軟弱な見た目の奥に鋭い眼光をたたえた青年がニヤリとする。彼の率いるノルウェー中心のテロリスト集団ヘルヴィタは世間では一流の音楽センスを持つデスメタルバンドを装っている。 シャーセ(Vo)、エドヴァルド(Gt)、ボルベア(Dr)、グンネルス(Ba)の四人で、離陸寸前の飛行機へ放火したり、互いの親族を殺そうとしたり、高層ビルに爆弾を仕掛けたりするこの悪名高いテロリスト集団にソレスタルビーイングが追跡していた。今、彼らは顔なじみの傭兵集団『ダークギース』と共に一旦アメリカに逃げた後、『メビウス』と接触し、再び日本に戻ってロンと共に行動していた…。


 「ヘルヴィタが動いているだというのか」
 広志は険しい表情になった。イワンが話す。
 「EUROGINのアレックからは最近奴らの手に人工衛星が渡ったとの闇社会からの噂の報告があります」 「人工衛星ですって…。ゴールデンアイがあいつらの手にあれば最悪です」
 霧生満はゾッとした表情だ。
 「おい、ゴーヤーンとどういう関係があるのか」
 「CEO、元のプログラムは人工衛星があって初めて機能します。もし本格的に動き出したらあらゆる電子機器のプログラムは破綻し混乱状態は必至です」
 「直ちにヘルヴィタの行方を突き止めるんだ」
 「了解です」


 「何だって!根岸がクラウザー二世だと?」
 プロボクサーの小津翼は後援会副会長の相川由利(あいかわゆり)から相談を受けていた。 彼女は根岸が片思いをしている大学時代の同級生で卒業後は根岸が愛読するオシャレ系雑誌「アモーレアムール(通称アモアム)」の編集者をしており、根岸と同じくスウェーディッシュポップが好きで、メタルなどの過激な音楽が嫌いなのだ。彼女が「ギターも上手いし、プロになれる」と誉めた事で根岸は本格的にプロのアーティストになる決心をした。それがDMCの暴走に巻き込まれるとは思わなかった。外見は美人でスタイルもけっこう良いが、真面目なようでいて性格的にはオトボケで翼の後援会副会長を務める。
 「この前取材していたら彼にスカートを捲り上げられたの。更に変装している姿を見てしまったのよ。その他に『このマンカス!』『顔射用女』と言われて、挙げ句の果てに頬ににきびが出来たのを『顔面にクリトリスがある女だったな。まさに淫獣だ』と言われてもう、散々よ」
 「雑誌の取材とは言え、非道極まりないな」
 「調べたらバックスポンサーにはロンがいるみたい」
 「ヤバい!魁の知り合いが奴を調べているから、彼に協力してくれ!」
 「根岸先輩がリブゲートの二番煎じに取り込まれていくのは我慢できない…」
 根岸の後輩で月島きらりとフューチャリングして『ホイップラブクリーム』名義でCDを出している佐治秀紀(さじひでき)が嘆く。彼は根岸に憧れてメジャーデビューを果たした誠実な性格だ。
 「ちぃ兄ちゃん、一体何があった?」
 彼らが話しているところに魁が来る。
 「魁、ちょうどいいときに来てくれた」

 「ねぎっちょの事ですか。アイツを助ける方法はないんですか」
 少し太った青年が言う。木林進(きばやしすすむ)といい根岸と同郷の幼馴染みで小学生時代の一番の親友だった。心優しく引っ込み思案で精神的に弱かった自分を変える為、カリスマヒップホップラッパー"鬼刃"(自称NY帰りの史上最凶ギャングスタラッパー。世相への痛烈な風刺や誹謗中傷をメインとしたディスを駆使したダミ声のMCが特徴)として裏の顔を持つようになった。 主に渋谷で活躍しており、熱狂的ファンを「KIVAクルー」と呼ぶ。
 「ダメだ。何しろ借金の質代わりにされている」
 「ヒロの資金で助けるわけにはいかないし、どうしたらいいんだ!」
 「そう言えば、ヤバい話を聞きましたよ。あの怪談亭が倒産する事になりそうです」
 木林が話す。その時、目を輝かせた男がいた。蒔人である。
 「あの最悪の料亭が潰れるのか!?」
 「確か蒔人兄ちゃんは店員と喧嘩したんだよね」
 「あの最低の料亭が次々と従業員が辞めるなんて思わなかった」
 呆れ顔の江里子(蒔人の婚約者)。
 

 「ローゼンバーク先生、うまくあの馬鹿が引っかかりましたな」
 ロンはその料亭『怪談亭』でリチャード・ローゼンバークアメリカ国連大使の接待をしていた。
 「だが、派遣スタッフが入って来たのには驚いたよ。早速君のマフィアに始末させたが、あれは事件にならないようにしてもらいたい」
 「余計な提案をあの三社がしでかすとは誤算だった」
 「あの提案は違法です!何度言っても違法です」
 あのコンサート会場のVIP席でラグジュミのリタル会長とロンが面談して、ラグジュミ・マードックの合併が発表されたのだった。彼らの言う誤算とは新たな買収提案だった。台湾共和国にある最大手通信業中華連邦通信と日動あおいフィナンシャルグループ、最大手無線LANネットワーク携帯電話会社マリナーモバイルによるマードックの買収提案だった。 オーブ近くの小さな島に本社を構えるマリナーテレコムは飲料水販売会社や電力会社や鉄道会社と提携して無線LANネットワークの整備を500億円でしていた。後は専用ソフトを搭載したスマートフォンを販売し、月1000円で通話やデータ通信出来ると言うことで急速にシェアをのばしている。因みに筆頭株主は花菱響(桜庭薫の弟)率いる花菱インベストメントである。
 「まさか、御木本が捕まるとは誤算だった」
 「マードックをラグジュミに合併させて株式を売り抜けて最大手のジャパンテレコミュニケーションに乗り換えてしまえば一件落着だな」
 「その合併融資に私のプライベートバンクを活用し、売り抜けてしまえばこちらのものでしょう」
 「後はうるさいサツを封じ込めるだけだ」
「既に圧力をかけています。ですが、公権力乱用査察監視機構(GIN)が動き出したらお手上げです」
 「サウザー君、何とかならないのかね」
 「マクラーレン副大統領の要請もあるから圧力をかけていますが、あのブンヤのバックにGINがいますからね」
 「高野広志を消そうとしてしくじるとは。こうなればキラ・ヤマトを狙うまでだ」
 武器商人のユーリ・オルノフが平然と言い放つ。
 「この会合をほかに知っているのは?」
 「ヘンリー・ストリーターですね。彼には危険な仕事をこなしてもらいましたがもうそろそろ後始末をつけなければなりませんね。ハッキングでオーブを調べてもらいましたからね…」


   渋谷代官山近くのマンションの一室。先ほどまで激しい愛撫を交わしていた二人が落ち着いていた。女のバストに優しく触れる男は和田だった。
 「そう、じゃあエメラルドファイヤにシフトを移していくのね…」
 和田に安堵の表情で微笑むのは若妻のニナ。ショートヘアに勝気な瞳が印象的な美少女である。エメラルドファイヤでは和田=ジャキとダブルボーカルを務める。普段渋谷ルタファーでコンサートをひらいている。
 「根岸も何とか抜け出すために戦っている。俺も戦うよ」
 「そうじゃなくちゃね!!私はぬいぐるみ野郎のクラウザーは嫌いだけど、根岸なら好感をもてるわ」
 ニナは気が強く、和田の妻になってもそれは変わらない。エメラルドファイヤのメンバーはニナのバンドをベースにしているのだ。ニナ(Vo)、レイ(Gt)、サエ(Ba)、モモ(Dr)にキーボードの富樫毅(大阪出身で音楽に対してストイックな性格)がジャキを盛り立てていた。 ヴィジュアル面はニナがプロデュースし、音楽はソフトロックを中心にしている。これが好調で、和田は早くエメラルドファイヤに専念したがっていた。大手レコード会社から契約の話もある。
 「ようやく俺達の城を手に入れたんだ。アイツ等の城も手に入れてやりたいんだ。そのためにはメジャーデビューしなくちゃな」
 


作者あとがき:今回使った『デトロイト・メタル・シティ』の歌詞は相当酷い物が多いです。でもこれは漫画の中のことで終わらせてはいけません。理由はあの歌詞に同調するかのようなことが現実に起きているからです。いよいよ今月に衆議院総選挙が行われますが今の荒んだ社会を戻す政党をしっかり見極めなければなりません。それでも今の政治家は平然と公約を破るもしくは公約実現の為に強行手段まで構える者が多いのが現状ですけど…。
 

今回使った作品
『スーパー戦隊』シリーズ:(C)東映・東映エージェンシー・テレビ朝日    2002・2005・2006・2007
『北斗の拳』:(C)武論尊・原哲夫/東映映画 集英社   1983
『きらりん☆レボリューション』:(C)中原杏 小学館   2004
『デトロイトメタルシティ』:(C)若杉公徳 2005
『シバトラ』  (C)安童夕馬/朝基まさし 講談社 2006
『Get Ride! アムドライバー』:(C)スタジオディーン 2004
『サイボーグ009』:(C)石ノ森章太郎 秋田書店・メディアファクトリー・角川書店  1964
『夜王』:(C)倉科遼・井上紀良 集英社 2003
『太陽にほえろ』:(C)魔久平・東宝テレビ部・石原プロダクション    1972
『傷だらけの仁清』:(C)猿渡哲也  集英社
 『藍より青し』:(C)文月晃  白泉社 1998
『ハンニバル・レクター』シリーズ:(C)トマス・ハリス   1986・1988・1999・2002・2006
『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ:(C)サンライズ/毎日放送   2002・2004
『二人はプリキュア Splash Star』:(C)ABC・東映アニメーション 原作:東堂いづみ 2006
『沈黙の艦隊』:(C)かわぐちかいじ  講談社 1988

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