現代社会をシミュレーションした小説を書いております。
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(まいったぜ…)
ジュウザは車の後部座席で横になっていた。左脇腹に銃弾を撃たれ、出血している。 「もし!しっかりして下さい!!」 そばで女性の声がする、が彼の目はうつろになっている。 (マジでやばいな…これであの世行きか…?) 彼は意識を失う。 (ここは…?) 彼が再び目を開いた時、場所が変わっていた。目の前の天上からシャンデリアがぶら下がっている。 (あの世…じゃないよ…な) 「あっ、ちぇんちぇ~、気がちゅいたよ、このちと」 (?…この子は一体…) どうやら彼は治療を施されて一命を取り留めたらしい、その証拠に彼が寝かされているベッドの傍らには小さな女の子と黒いジャケットを着て、顔の一部が青黒い男、そしてピンクの髪の女性が立って彼を見下ろしている。 「どうやら一命は取り留めたようですな」 「よかった…ありがとうございます」 「よかったね、お姉ちゃん」 (そういえば…あの子は…) 「ん?あの女か?心配するな、彼女もここに保護されているぞ」 顔の一部が青黒い男はジュウザが何か言おうとしたのを察したか、彼に言葉を掛ける。 (そうか…助かったのか…俺達は…) 「しばらくゆっくり寝ていろ。傷口も縫ったし輸血もしてある。礼ならこの女性に言うことだな」 (へへっ、じゃあそうさせてもらおうか…それにしてもとんだ災難だったぜ…) 彼は再び目を閉じながらここまでの出来事を回想した…。 「助けてください!!」 一人の女性が『恐竜や』の債権計画を話し終えて店から出てきたジュウザに助けを求めて抱きついてきた。 「一体どうした…貴方は確か…野々宮ノノ?」 「はい!ひょっとして五車星出版社の人ですか!?」 「ああ、そうだ」 そう、ジュウザに助けを求めてきたのはバットが以前、高野広志のことで取材した野々宮ノノであった。 「何故貴方が…もしかしてバットが書いた記事のことで!?」 「…分かりません、ただ二、三日前からつけ狙われるようになったんです。その証拠に人相の悪い男が数人私をつけ回してるんです。自宅の外からも…」 「ふ~む、とにかく店に入ろう。ここにいてもしょうがない。隙をついて俺の知り合いの所に行こう」 「お願いします!」 二人は『恐竜や』に入っていった。 「どうした?急に戻ってきて」 店の中にはさっきまで話し合っていた人物達がまだ残っていた。彼らはジュウザが女性を伴って戻ってきたので疑問に感じた。 「実はさあ…」 とジュウザが経緯を説明しようとすると 「美紅!!どうしてここにいるの!?」 「ノノちゃん!!貴方こそ一体どうしたのよ!?」 ノノが驚いたのも無理はない、彼女の目の前にかつて十年前のテロ戦争の時に共に広志をサポートした久住美紅がいたからだ。 「お知り合い…ですかな?」 と龍之介が美紅に尋ねる。 「ええ、十年前からの付き合いでして…」 「お願い、美紅!私をヒロの元に匿って欲しいの!!手を貸して!!」 「ヒロの元に?どういうことよ?」 「それは俺から説明するよ」 とジュウザは言うとその場にいた全員に経緯を説明した…。 「何ですって!!?二、三日前から!!?」 「そうなのよ、私怖くなって…」 「どうやら俺達の雑誌の記事の件が原因らしいんだが…」 とジュウザは頭を掻きながら言う。 「本当なの? ノノちゃん」 と美紅がノノに問いただす。すると 「実は…さっきこの人に言わなかったけど…別に思い当たる節ならあるのよ…」 と彼女は言った。 「それって一体…とにかく話してちょうだい」 「分かったわ美紅、今は貴方が頼りだから…」 と言ってノノはその思い当たる節を話し始めた。 「十年前の戦いの後、私はアルバイトでバイク便をしていたの、そこにサウザー先生や涼宮先生が仕事を頼んできて、届けたわけ」 「まさか、その件で貴方が狙われたっていうの?」 「…聞いちゃったのよ…」 「何を?」 「実はその二、三日前に仕事で涼宮先生の事務所へ届け物をした時にたまたま書類に印鑑を押してもらうのを忘れたから戻って印鑑を押してもらおうとしたのよ。その時に…その時に壬生国で何かをやっているという話を聞いちゃったのよ。詳しくはうまく聞き取れなかったから分からなかったけど…」 「何!?それでか!恐らく話を全て聞かれたと思って口封じに出たに違いない!」 話を聞いていた山岡士郎が叫ぶ。 「そうなると事は一大事ですな」 「じゃあ、このノノさんを追っている人達が店の周辺に張り付いているに違いないですよ!」 「そうだろう、凌駕、裏口から外の様子を見てくれないか」 「分かりました!」 龍之介に頼まれた凌駕は裏口に行き、外の様子を見る。戻ってきて 「龍之介さんの言うとおりでした。奴等、裏口も見張っています!!」 と報告した。 「チッ、まずいな。囲まれたか…」 「ねえ美紅、ヒロに連絡取れない?GINに来てもらって保護してもらえないかな」 とノノは頼み込む、が 「ごめんなさい、いくらノノちゃんの頼みでもそれはできない。それをやってしまうとヒロは公権力を私物化したと言われかねないのよ」 と美紅は謝りながら言う。 「そんな…」 「心配するな、俺の情報屋に話をつける、みんなで何とかして追っ手を撤退させてくれ」 とジュウザが言う。 「分かりましたジュウザさん、お願いできますか」 「ああ、任せとけ。要はGINに彼女を送り届ければいいんだろ」 「となると…」 と海原雄山が息子の士郎に目を向けると彼は無言で頷いた。 「幼稚な手だが…まさか貴様とやることになるとは思わなかったがな」 「それはこっちも同じだ、雄山」 「なるほど、貴方がたならできますな。何せ…」 「おい!その先は言うな。とにかく始めるぞ」 「よし、俺もアンタ達がやることが分かったぜ。混ぜてもらおうか」 久津ケンも士郎と雄山の考えに気づいて参加することにした。 「いいぜ、始めてくれ」 「何だと!?もういっぺん言ってみろ!!」 「言ったはずだ、この店などやはり再建しても無意味だと言ったのだ。愚か者め!!」 『恐竜や』の中から怒鳴り声が上がり、表から雄山と士郎、それにケンが出てくる。 「じゃ、さっき言ったことは嘘だったのかよ!!」 「フン!気が変わった。所詮、あの店員の気持ちの持ちようだけではどうにもならんわ」 「何ぃ!!?」 「よせよ。所詮、この男はこういう所なぞ元々興味なかったのさ。散々ケチをつけて店を潰す、この男のやり方ぐらい知ってるだろうが」 「ほう、すると貴様はこんな寂れた所にも食に優れているところがあるとでも言うのか。これは面白い、士郎、貴様の目指す『究極の料理』も落ちぶれたものだな、ハッハッハッハ」 「フッ、哀れな奴だな雄山。お前の視野の狭さのせいで食の道さえも見失ってるとはな」 彼らがこういう言い争いを始めたのはノノを追ってきた連中の目を逸らす為である。更に 「待って下さい雄山先生!!今になってそれはないでしょう!」 「アンタ、約束ひるがえすなんて最低ばい!!」 と凌駕・らんるの二人も言い争いに加わる。その隙にジュウザとリジュエルの服を借りて着替え、変装したノノが表から出てそのままホテル『リッツ』を出るとジュウザ専属の情報屋の元に向かった。無論、あの『ダークシャドウ』のことである…。 「何だと、、ノノの拉致もしくは抹殺に失敗しただと!?」 「ああ、ご自慢のニューマークもメンツ丸つぶれだぜ」 その頃、『シンセミア』のボス、グスタフ・ゼルマンは闇のヤイバからの報告を受けていた。グラース・Z・ニューマークに指示してノノ抹殺もしくは拉致を命令したが彼女はバイクを使ってうまく逃げていた。しかも場所は全く分からない。このままでは依頼主のサウザーに申し訳が立たない。 「おのれ…ヤイバ、お前はジャギと合流して野々宮ノノを抹殺してしまえ!お前が頼りだ、あの冥王せつなを抹殺したお前に任せる」 「あんたに言われるまでもない、抹殺しかない」 「スピンガーン、キルボーンにお前は指示を与えよ」 「了解しました、ボス」 その時、スピンガーンの携帯が鳴る。 「…おう伯爵、女の行方は突き止めたか?ボスがお怒りだぜ…見つけた!?で、どこ行った…ホテル『リッツ』、で…はあ?逃げられた!?何だよそりゃ…何!?ホテルに部下を張らせてたらその中にある喫茶店で女が知り合いに会って数分後に店の外で言い争いが始まって…その隙を突かれたってかい…どうするんだよ…部下のケツ蹴り上げて追わせてるのか…ボスにはどう報告すんだよ…いいのか!?」 「おい、スピンガーン。さっきから何話してんだ」 横で聞いていたゼルマンが彼に尋ねる。 「はあ、伯爵からの報告ですが例の女を見つけたのはいいのですが…部下が取り逃がしたそうで…」 「何!?あの馬鹿が!!」 「ですが部下共のケツ蹴り上げて行方を捜しているそうですので…」 「そうか、早く足取りを掴めと俺が言っていたと言っておけ」 「了解しました」 「言い争いを起こして、そこに気を取らせて逃げるとは…見え透いた手を」 とヤイバが呟くと 「全くだ、あんな幼稚な手に引っかかりおって!」 とゼルマンが彼の呟きを聞きつけて憤懣やるせない口調で言う。 「ならば社長、俺はもう行くぜ。とっとと始末してくる」 「おう、頼んだぞ。ジャギと落ち合う場所はニューマークに聞け」 「了解した」 「悪りぃなあ…部下の尻拭いするような真似をさせて…」 ヤイバと落ち合ったニューマークは彼に謝る。 「気にすることはない、あの女に関わった奴等も闇に葬れば済むことだ」 「社長がアンタに信頼を寄せていることだけはあるねぇ、敵に回さなくてよかったと思うぜ…そうだ、関わった奴といえばもう一人始末しておいて損は無い奴がターゲットと共にいる」 「確か『五車星出版社』に勤めているジャーナリストだな」 「ああ、ジュウザという名だそうだ」 「分かった、その名を覚えておこう。ところで俺と落ち合う男はどこにいる?」 「ここにいるぜ」 話している二人の間からジャギが割って入る。 「アンタか、協力者というのは」 「ああ、丁度いい時に俺を呼んでくれた」 「ほう、何かターゲットに恨みでもあるのか」 「女の方じゃねえ、俺が恨んでいる奴は別にいる。霞拳志郎という男だ」 「ならば聞こう、この一件とその男と何の関わりがある?」 「アンタ達が言ってたジュウザって男は奴と同じ会社に勤めているジャーナリストだ。俺はあの男のせいで何もかも失っちまった。だから奴の大事なものを少しずつ奪い消してやるのさ、奴が苦しんでいく様を見ながな…」 「復讐か…まあいいだろう。協力者はお前一人か?」 「いや、竹内って男が俺の部下にいる。今、女の行方を追わせてるんでな」 「そうか」 その時、ジャギの携帯が鳴る。 「来たようだな…どうだ…おう、見つけたか…秋葉原に向かってる?よし、そのまま奴等の後をつけろ。俺が来るまで手を出すな、後は先生方と共に殺る」 「見つかったか」 「ああ、行き先は秋葉原だ」 「よかろう、路地裏も多いことだしな。気づかれずに殺るにはうってつけだ」 彼らは秋葉原に直行した…。 同じ頃、京都医学大教授で、ヴァルハラ泉佐野総合病院の共同院長を務める財前五郎は院長室で憂鬱な表情になっていた。彼は拳志郎と高校時代の先輩後輩で、拳志郎がジャーナリストを志したときには「もし何かあったら力になる」と応援したことがある仲である。 「…あの東先生があんな目に遭っていたとは…」 彼の言う『東先生』とは彼の恩師である東貞蔵名誉院長(前・浪速大学医学部第一外科教授、呼吸器外科専攻。62歳)のことである。 「失礼します」 と院長室に入ってきたのは財前と同期で友人でもある里見脩二だ。 「里見か、東先生の話をどう思う?」 財前は彼に尋ねる。 「あの話か…ひどいものだ、東先生は無実だとは信じていたが…まさか濡れ衣だったとは…」 里見も憂鬱な表情になる。 「ああ、先生が壬生国の大学病院に勤めてらっしゃった頃に執刀ミスを起こしたと聞いた時は俺も信じられなかった、今でも先生は精度の高い手術ができるからな。だが、あのオリバー・ビアスが己の罪を隠す為に東先生を陥れてたとはな。正直、あの男には怒りを覚える」 「それは俺も同じだ、財前。その時にあの男はかつての弟子であったスパンダム・グロリアと接触していた。彼が独自のガン制圧剤を開発していたし、その開発に情熱を傾けていた。あの執刀ミスでそれが頓挫しそうになったし、スパンダムもスパンダムでCP9の日本進出を狙っていた。二人の利害が一致し、オリエンタル製薬買収の話を持ちかけたのだが失敗に終わってベンチャー企業を買収した。その名前がボルト薬品で、ビアスが社長におさまった」 「そのオリエンタル製薬とてスパンダムの毒牙が回り、破産させられたばかりか社長夫人が自殺したそうだからな。その後悠々とCP9が乗っ取った」 「そういうことだ」 「そういえば里見、お前オーブのアカデミアに行った月形達からは何か聞いていないか?」 と財前は尋ねる、月形達はビアスの弟子だが財前、里見の二人とは顔見知りで今でも付き合いがあるのだ。 「ああ、お前の高校時代の後輩が彼らの所に取材に来たそうだ」 「霞拳志郎か」 「そうだ、例の『ゴードム』の一件を知ってるだろ、あれを調べているそうだ」 「そうか、アイツはいずれこの病院に来る。十年前に受けた古傷を診てもらいにな」 「その時に話すのだな、東先生のことを」 「もちろんだ…」 それきり、二人は黙ると窓の外を眺めていた…。 作者あとがき:今回も前・後編の二編に渡ってお送りします。後編もお楽しみに!! 今回使った作品 『北斗の拳』:(C)武論尊・原哲夫 集英社 1983 『ONE PIECE』:(C)尾田栄一郎 集英社 1999 『スーパー戦隊』シリーズ:(C)東映 1988・2003・2006・2007 『美味しんぼ』:(C)雁屋哲・花咲アキラ 小学館 1983 『ミスター味っ子』:(C)寺沢大介 講談社 1986 『ブラックジャック』:(C)手塚治虫 秋田書店 1973 『ノノノノ』:(C)岡本倫 集英社 2007 『白い巨塔』:(C)山崎豊子 新潮社 1963 『涼宮ハルヒ』シリーズ:(C)谷川流 角川書店 2003 『フロントミッション』シリーズ:製作 株式会社スクウェアエニックス 1996・1997 『傷だらけの仁清』:(C)猿渡哲也 集英社 PR ![]() ![]() |
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