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現代社会をシミュレーションした小説を書いております。
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 一台のワゴンがヴァルハラ千葉ニュータウン病院に入ってくる。 そこから降りてきたのは初老の男である。だが、足下がおぼつかない様子で青年に肩を抱きかかえられて病院裏口から入っていく。 外科医の村上直樹は厳しい表情で男に駆け寄る。
「小池さんですか」
「ああ、頼んだぜ、村上さん」
「黒崎くんの頼みなら、俺は引き受ける」
 そう、青年は黒崎高志だったのだ。 
「タカ、私はワゴンを駐車場に移すからね」 
「ああ、氷柱に任せておくぜ」
 婚約者の吉川氷柱に笑うと黒崎は険しい表情になった。これから彼と2日間の事情聴取を治療と同時並行で行わねばならないのだ。
 
「容態はどうなの?」 
「末期ガンの症状そのものだね」 
 直樹は妻の遥、義理の妹でヴァルハラ千葉病院への加入が内定した水野亜美と話す。自虐的に笑う長髪の男。めがねを外しながらお茶を飲む。 
「そもそも『ヴァルハラのドクター・キリコ』に任せると言うことは死ぬことは避けられないと言うことだ」 
「院長、それだけ患者から選ばれる優れた病院じゃないですか」 
「水野、俺は一人でも多くの患者を救いたいんだ。そのためには苦痛はできるだけ取り除くのが俺の信念。だが、それが一人歩きするのは困ったがねぇ」
 堀江烈院長はそういうと机の上の家族の写真を眺めた。この病院は院長室をあえておかない。というのは堀江自身、ヴァルハラの前身の一つである四瑛会の経営者である四宮一族出身だった。派閥や財閥を彼らは嫌っており、長男の中田魁は医療機関再生機構主任理事、三男の四宮蓮は壬生大学理事長、そして四男の四宮慧はヴァルハラ理事、末妹の梢はヴァルハラ産婦人科医総責任者(外科医兼任)と血縁に頼らない実力派揃いだった。 
「今回のクランケ(患者)がマリンビール前社長で、プロ野球の日本リーグ・千葉マリンズオーナーだった小池史裕氏ですね。大腸ガンの他に、肺にもガンが見つかって…」 
「できるだけのベストは尽くしましょう、院長」 
「ああ、俺も小池氏の運命を変えてみせる」
 烈の目は鋭くなった。黒崎と氷柱に視線を向ける。 
「しかし、君達ゴリラが彼について治療費を持つのはどうしてなんだ」 
「彼はマリンビール社長でしたが、資産をあのマーク・ロンに奪われたんです。俺はマリンビールの筆頭株主になった日本たばこから連絡を受けて捜査に入りました。その中で彼の体調がおかしかったので簡易検査を行った結果、彼が大腸ガンでしかも肺に転移していたことも明らかになったんです」 
「そうか…。できるだけ治療を優先させて欲しい」 
「もちろん、私も黒崎もその意向を尊重します。しかし、ロンは他にも不正を重ねています。私達は急がねばならないんです。こうしている間にロンは悪事を重ねています」 
「分かっているさ。俺達もできるだけ小池氏の治療に全力を尽くす」 
「それに、小池氏は今回の事件の責任を取って引責辞任し、退職金も辞退しています。彼にこれ以上の酷な想いはさせるわけにはいかない。彼は病魔に苦しみながらロンの悪事を証言しています。彼を助けてやりたいんです」
 黒崎は怒りに燃える目で言い切る。黒崎が小池の体調不良に気がつき、責任者である亀田呑に相談を持ちかけてゴリラが治療費を持つことでこの事件を調べ始めたのだ。

 
「黒崎さん、オーナーの体調はどうですか」
 千葉に戻った黒崎と氷柱が向かったのは千葉にあるマリンビール本社だ。 そこで子会社の千葉マリンズの選手会会長である檜あすなろ投手と面会しているのだ。 
「はっきり言って容態は悪い。だが、俺達もヴァルハラの堀江院長もベストを尽くす」 
「僕たちはこのままでは球団の存続問題に巻き込まれます。オーナーを助けてください」 
「無論助ける。俺は詐欺の被害者から被害額そのものを買い取って詐欺師を喰らう『クロサギ』だ。いわば悪人を喰らう最悪の悪人だ。だが、絶対に命を助ける。それが俺の信念だ」 
「あんたがそこまで言うなら、俺達は選手会として球団への支援を呼びかける」 
「神さん、是非そうしてくれ。基本的に俺は一つの企業が球団を持つことは危険だと思っているんだ」
 黒崎はそういう。神龍一(じん りゅういち)主将は小暮憲三監督と一緒に頭を下げる。
 「パンパシフィックリーグ1部の鳥栖フリューゲルスは株主を分散している。というのは鳥栖及びその周辺の企業が支援しやすいようにしているそうで、企業名をつけないことを頑固として貫いているんだ。マリンズももはやマリンビールだけのブランドじゃない、千葉市を代表するブランドじゃないか」 
「黒崎さん!」 
「一部支援がなくなるかもしれないが、その分他の企業からの支援が来るように俺も動く!」  
「CEO、ロンの事でゴリラが動いてます」
 「マリンビールの案件か」


 川崎のスカイタワーでは…。
 玄野計が険しい表情で広志と向き合っていた。彼はチームGANTZ(ガンツ)を率いている責任者で、涼宮ハルヒとロンの賄賂のことで動いていた。金に目がないハルヒに目をつけて盗聴装置入りのパソコンを寄付して以前使っていたパソコンを買い取り、そこから証拠を集めていた。 
「CEOはゴリラと接触していますよね」 
「ああ、この件も連携して動くことにした。それと風見がブンヤたちを組んでロンの周辺を洗っている」 
「あの『真っ黒』が香港にある上海証券によく出入りしているんですよね」 
「そうだ。その直後にあのM&Aだぞ」 
「選手会も支援を呼びかけているそうです。財前さんは動くようですが」 
「財前は財前、俺は俺だ。本件を聞こう」 
「『真っ黒』ですが、千葉マリンズのスポンサーになるかわりに高額の通信設備をマリンビールに押しつけています。実際調べたらたった30万円でできるものが3000万円かかる見積もりになっていました」 
「そうか…。そういう契約がマリンビール支社で多く見られたわけだな」 
「間違いありません。その金額を計算したら、ほぼ涼宮ハルヒに渡った賄賂に重なります」 
「よし、決定的な証拠を集めろ。簿記の上では奴らに言い逃れを許すことになる」 
「『真っ黒』はその他にもイカサマバクチで二人の女をはめています。一人はデトロイトメタルシティの所属元の社長です」 
「なるほど…、債権者として嫌なことを押しつけているな。それと、あの『怪談亭』の女将もはめられているな」 
「間違いありません。二人とも司法取引を持ちかけましょうか」 
「デトロイトだけにしろ。怪談亭は悪意そのもので話にならない。事実を把握している旨を伝え自首するよう説得を重ねろ」 
「分かりました」


 そして千葉マリンスタジアムでは…。 
「千葉マリンズ存続の署名を集めています。よろしくお願いします」
 選手会とファンが率先して署名を集めている。マリンビールの筆頭株主になったセラミックキャピタルとアメリカ大手のベートーベンビール、日本たばこがマリンズ支援を見直すことを表明したのだ。このままでは千葉マリンズはつぶれてしまう。 そこで、選手会とファンが共同で署名運動を始めたのだった。ファンはもともと熱心な応援で知られており、ファンの中から球団の営業職になった強者もいるぐらいだ。試合が終わった選手達も毎回署名集めに加わり、署名は10万人にのぼっている。  だがスポンサーはマリンズへの支援を渋っていた。そのため彼らは署名活動を続けていた。
「千葉マリンズのスポンサー継続へ署名をお願いします」
 マリンズのチームの頭脳といわれる一塁手の野森里彦が厳しい表情で話す。 
「お願いします!来年もこの千葉で闘いたいんです」
 ショートを守るチャーリー・ハーマーがその明るい表情を一変させてひたむきな表情でレフト5番の若見荘次(わかみ そうじ)と頭を下げる。 ちなみにマリンズの選手達は小池に可愛がられていた。二軍の試合にも足を運び、チャンスがないと嘆く若手を励ましてきた小池の姿を誰もが知っていた。心理戦を得意とする二塁手でもある月の屋二郎(つきのや じろう)も頭を下げる。 
「これは日本リーグの危機です。助けてください」 
「チームを守る為、募金をお願いします。サポーターによる持株会を立ち上げます」 
「お願いします!」
 投手である香川(かがわ)と柏木の二人もひたむきに頭を下げる。 
「檜先輩と神さんばかりがこのチームの存続を願っているのではありません。僕たちもそうです、千葉市民の球団として千葉マリンズを守ってください!」
 上杉輪(千葉マリンズのクローザー、千葉大学法学部2年生)までもが頭を下げる。

「ふぅ…、疲れた。神さん、あすなろ、結果はどうだ」 
「黒崎さんは何とか動くと言っていたけど、頼ってばかりじゃダメだ」 
「確かにそうだっぺ。マリンビールはこのままの調子では撤退必至だっぺ」 
「どうすればいいんだろう…。このままじゃつぶれるぞ」
 マリンビールはマリンズへの支援を見直すことを表明しており、他に支援するスポンサーも見つからない。選手達は年俸を自主返納しているが、このままでは危ない。合流したメンバーは作戦会議をしていた。 190cm以上もある大男がおでんを食べながらボヤく。桑本聡(くわもと さとし)といい、千葉マリンズの「大魔神」というあだ名がある。160kmを越える剛速球とカーブを武器にウィンランド・ブラックス戦では13連続三振を達成したエースピッチャーである。ちなみに打者としても優秀である。

 ここは千葉にある『たこ助』。主人である橋場健二(ゴリラとも協力関係がある)に相談を持ちかける人達がいた。いずれも千葉マリンズの主軸選手である。あすなろは桜高校のエースから現役の大学4年生でもある先発と抑えのエースである。必殺技「弾丸ボール」と、しぶといバッティングに加え、試合中の怪我で偶然身についた一本足打法により、投打において中核だ。スタミナでは他の投手を圧倒しており、9回投げてもスタミナが切れないどころか、回を追うごとに球威が増していく。変化球はパームとカーブがあり防御率は2.13と驚異的である。 
「マリンズ、どうなるんですか…」 
「わからない。俺には何ともいえない」 
「おいおい、俺は役人の一種だぜ。そんな話はやめてくれや」 
「そんな事言っていられないんです。ベートーベンが撤退しかねないんです。なのはな銀行が融資を渋っているんです」 
「溺れる者は藁をもつかむというが、この事だな」
 苦々しい表情で海堂タケシがつぶやく。マリンズの正捕手で、早稲田大出身の超高校級スラッガーで高校通算打率は5割7分だった。サングラスを掛けて隣で焼き鳥を食べていた男がボヤく。 
「それはかなり渋い話だな」 
「ラゥ、お前さん何とかしてやれないか」 
「君の顔を立てることにしよう。まあ、あわてるな」 
「すぐ私にふるなんて」 
「この場合君しかいない。心配するな、私の金を優先してあてておきなさい」
 ラゥ・ル・クルーゼは妻のフレイに素早く答える。なぜクルーゼ夫妻がこの場にいるのかというと、オーブの投資ファンドとして関東連合に投資する企業を探して交渉を重ねていたからだった。 
「マリンビールへの投資ね。それと、なのはな銀行…。ちょっと待ってね」 
「早い!?」 
「フレイは決断力が強くてね。私よりも彼女が目利きが強い」
 スーツ姿の女性が険しい表情だ。彼女が村下夕子(むらした ゆうこ)、あすなろの婚約者であり校医を目指している。 
「金ばかり気にするのはロンという男に弱みを握られたのだろうな」 
「お父さん、何とかならないの?」
 鬼頭雅文桜高校野球部監督(千葉マリンズフロント入りが確定している)は厳しい表情で腕を組む。ちなみに海堂の妻が彼の娘であるさゆりである。 
「アメリカならインディペンデントなど受け皿もあるのに、困った話ね」
 桑本エミリーが渋い表情だ。弟のジミーと一緒に聡のサポートを務める。マッサージが上手いジミーはチームのマッサージを引き受けていた。エミリーはメディア対応を引き受けている。フレイが立ち上がって叫ぶ。 
「最高の男たちの舞台、守るわよ!!」  

「ジュウザさん、遅くなってすみません」 
「いや、大丈夫だぜ」
 ここは秋葉原・カフェ『あかねちん』。 東西新聞社会部記者である松永みかげが築地の本社から日比谷線に乗って駆けつける。ようやく復帰を果たした『週刊北斗』記者のジュウザ(本名・風見ジュウザ)、公私ともに相棒になったGINの風のシヅカ(本名・風見シヅカ)がいる。 
「GINの許可は得ているから、機密以外情報交換出来るわよ。もし機密に関わる場合はオフレコよ」 
「ええ、分かっています。まずは結婚おめでとうございます」 
「すまないな…。みんなに迷惑かけて、その後にこんな事になっちまって」 
「本題にはいるわよ」 
「そうだな、この前俺は上海に行ってきた。ロンが上海によく行くという話を聞いたので調べたら、上海証券の本社に行っていた。そこでその関連資料を調べたら、ロンのマードックの社債が上海証券の日本法人であるカミカゼ証券を通じて売られていたと言うことが分かった」 
「ということは、ラグジュミ・テレコムとの合併は…」 
「上海証券は仕手筋で知られる証券会社で、広東人民共和国の投資ファンドが経営権を握っている。俺はそこから奴らがラグジュミテレコムへ浴びせ売りを仕掛ける可能性があると見ている」 
「浴びせ売り…!!」 
「そういうことだ、そして最近株価が急激に上がっているジャパンテレコミュニケーションという通信最大手にロンが買収を画策しているようで、元社長と共同で買収ファンドを立ち上げる噂があるほどだ」 
「証拠がないとダメですよ」 
「証拠なら大丈夫よ。こちらなら…」 
「おっと、喋るな。これ以上話すとやばいだろ」
 ジュウザが止める。ジュウザはGINが情報収集衛星・マトリックスを持っていることを知っている。だが、広志が公私混同を嫌い悪党達との戦いに際してのみ盗聴機能を解放している厳しい倫理観の持ち主であることを知っている為口封じをしたのだった。 
「それと、先生の弟さんは大丈夫なの?」 
「ようやく社会復帰を果たしたわよ」
 みかげとシヅカはため口で話ができる。ちなみにみかげにとってジュウザは新聞記者としての手ほどきを教えてくれた恩師の為、ため口は使わない。 
「この事は…」 
「もちろん伝えるわよ。でも、あなたも、もっとGINにも目を光らせなさい」 
「そうだな、みかげちゃん。俺達は今後もできる限り協力する。今のみかげちゃんは一人前だ」

 
「ロンの奴、そこまでやるとは」
 呆れる黒崎。目の前でうなだれる小池。氷柱がつぶやく。 
「あなたもある意味被害者ね。マリンズを強くしようと無茶をしてそこをロンに資産を乗っ取られて挙げ句の果てに転売されるなんて」 
「そこまでしないと強くなれない。おかしな話だと思いませんか」
 背広姿の男が言う。セラミックキャピタルから派遣された弁護士でベートーベンビールセールスマネジメントの顧問を務める山田麻利夫である。彼の性格は狡猾で強かな交渉力をもつ。秘書の松永加奈子とは親類にあたる。 
「山田さん、ベートーベンビールセールスマネジメントにセラミックキャピタルとベートーベンの資本を一本化させる構想どうなったの」 
「もう固まった。社長は松永がやる。俺がやったら弁護士の倫理に絡んでくるからできない。ついでに言ってしまえば俺の知り合いである桜庭薫の出身家である桜庭家と日本たばこが出資を決めている。そうすれば外資法に抵触しない」 
「さすが山田さん。したたかだねぇ」 
「マードックだが、資本が危ない…。検索エンジンの子会社に負債をとばしている…」 
「検索エンジンの子会社に不良債権をとばす手法か…。なるほどね、休眠会社にして新しく別の会社に検索エンジン事業を移してしまう訳ね」
 小池の事情聴取は順調だ。 
「ちなみにベートーベンビールセールスマネジメント以外に出資するという話はある。彼らも協調して支援してくれるそうだ」 
「どうやって再建するんですか」
 氷柱が聞く。 
「一個人の案だが日本たばこのロジスティックにマリンビールを加える、それでまず高コストの物流部門を見直し、重複部門は大手卸問屋に売却する、アメリカのベートーベンビールの販売元になることが決まっている。もちろんマリンビールは拡大するし、アイヌモシリ共和国にあるコタンビールも強化する」 
「社長選びにも気をつけて欲しい…。球団にも情熱をもてる人を…後継者に…」
 声が弱い小池に山田は微笑む。 
「大丈夫、球団にも相応しい人を選んでいるさ。入ってきてくれないか」
 そこへ大きな体つきの外国人が入ってくる。 
「社長、しっかりしてくれ!」 
「ジョージ…」
 声がかすれている小池にジョージ・ベートーベンが声を掛ける。実はベートーベンビールの御曹司でありながら、千葉マリンズの三塁手であり、ホームラン王だった選手で、アメリカの大学でMBAを取得した切れ者でもあったのだ。 
「みんな、あんたを助けようとしている。あんたに苦しみは押しつけさせない。俺は約束した」 
「黒崎捜査官、社長をお願いします」 
「当たり前だ。俺達ゴリラの他にも、助けようとしている人達はいる。あんたは経営者として従業員を守ろうと一人で罪をかぶろうとしているけど、そんな事はさせない」 
「それよりも、ロンを捕まえてくれ!頼む!」
 ジョージが頭を下げる。 
「私達も動いています、大丈夫です」 
「黒崎捜査官、すみません」
 声を掛けてくる看護師の入江琴子。黒崎は席を外す。
 
「そうか、檜がそのラゥっておっさんと江戸前銚子ホールディングスの根岸忠会長を連れてきている訳ね」 
「会いたいって言っているのよ、応じられる?」 
「いいぜ、事情聴取は順調だ。ちょうど休憩を入れようと思っていたところにいいあんばいで来てくれたよ」
 黒崎はにやっと笑う。ちなみに琴子の夫は直樹といい、外科医である。そのため村上直樹と一緒にW直樹というあだ名があるほどである。 
「浦和君、二人を案内して」 
「ああ、ここまで僕が連れてくる」
 そういうと薬剤師の浦和良は走っていく。ちなみに彼と亜美は交際中であることを仲間達は知っているが、介入はしない。
 浦和が連れてきた三人。 
「黒崎さん、すみません。どうしても面会したいそうです」 
「ああ、ちょうど一息つこうとしていたところによく来てくれた」
 黒崎は笑顔であすなろに微笑むと三人を病室に案内する。 
「おお、根岸会長!」 
「ジョージ、グッドニュースを持ってきたぞ」
 根岸忠はにこりと笑う。 
「あなたは…」 
「ラゥ・ル・クルーゼだ。あなたの会社があぶないとたまたまいた居酒屋で聞いて、助ける必要があると思いこの場に来ている。出資を決めたよ」 
「ちなみに我々江戸前銚子ホールディングスも子会社の汐酒造を通じて出資することにした。この事を打ち明けてくれれば良かったのに」 
「迷惑を掛けるわけには…。ゴホッ!」 
「無理をするな」
 黒崎が素早く押さえる。ラゥは小池に話しかける。 
「資金繰りでも不安だと思うので、地元のなのはな銀行に資本参加させてもらった。首都圏大手の金融機関が撤退しない限り、マリンビールは大丈夫だ。マリンズにも竹中治夫頭取は資本参加を決めたそうだ」 
「そうですか…。ありがとうございます…」 
「今は闘病に専念すること。それだけです」 
「ラゥさん、ですが…」 
「あのロンを押さえねばなるまい…。彼を押さえない限り、悲劇は続く」 
「そういえば…」 
 根岸は一つ思い出したことがあった。 
「あのロンはとんでもない薬を持っている。確か塵程度で人を殺せる毒を保管していると豪語している」 
「何!?その毒薬は何だ!」
 黒崎が驚いて聞く。 
「ゲルセミウム・エレガンス…。呼吸器系統に大きなダメージを与えると言っていたぞ…」
  
「ラゥさん、ロンが持っているという毒薬ですが、とんでもない代物ですよ」 
「さすがだ、奇跡の青年」 
「近々、江戸前銚子ホールディングス本社に向かうことにしましょう。ゲルセミウム・エレガンス(別名冶葛(ヤカツ)、胡蔓藤(コマントウ)、鉤吻(コウフン))とはマチン科ゲルセミウム属、つる性常緑低木で全草、根、若葉に成分としてゲルセミン(Gelsemine)、ゲルセミシン(Gelsemicine)、ゲルセジン(Gelsedine)、コウミン(koumine)、ゲルセベリン(Gelseverine)、フマンテニリン(humantenirine)が含まれ、症状として眩暈、嘔吐、呼吸麻痺で最悪の場合致死量は極めて高く、トリカブトは0.116mgの致死量なのに対しエレガンスに含まれるゲルセミシンという成分の致死量は0.05mgで4.4mgの青酸カリの80倍効くんです」 
「もし、この毒物がテロリストに渡っていたらとすると、私はその事が恐ろしい。私の娘のローラがもしその毒牙にかかってしまうとしたら、私は頭が真っ白になってしまう。何が何でも阻止しなければならない」 
「ええ、全くそうでしょう。涼宮ゲートの告発に向けてゴリラと共同で証拠集めを始めています。そこからロンを検挙します」 
「そうでもしないと困ったことになる。ちなみにマリンビールの再建にはめどがついた。アイヌモシリ共和国直属の金融機関であるポーラスター銀行が出資することも決まったそうだ」 
「小池前社長は自らを犠牲にして従業員を守った…。生け贄にしたロンとハルヒは絶対に捕まえる…」
 広志の眼差しには鋭い怒りがあった。



  後書き この話は当初、予定していませんでしたが、前後でバラバラな話になっていた為、速やかに分かりやすくする必要があると判断し、今回考えさせていただきました。


  著作権元 明記
『誰にも言えない』 (C)TBS・君塚良一  
『名門!第三野球部』・『上を向いて歩こう』 (C) むつ利之   講談社
『いたずらなKISS』 (C)多田かおる   集英社
『東京大学物語』 (C)江川達也  小学館
『美少女戦士セーラームーン』(C)武内直子 講談社
『機動戦士ガンダムSEED』(C)サンライズ/毎日放送 
『金融腐敗列島』 (C)高杉良・角川書店
『クロサギ』(c)夏原武・黒丸 小学館
『藍より青し』(C)文月晃  白泉社
『涼宮ハルヒ』シリーズ(C)谷川流  角川書店
『北斗の拳』:(C)武論尊・原哲夫/東映映画 集英社
『ミラクルガールズ』:(C)秋本奈美 講談社
『スーパー戦隊』シリーズ:(C)東映 
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