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現代社会をシミュレーションした小説を書いております。
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                              1 

「なぜここにあなたがいるのよ…」
 戸惑うヨナ。世界ジュニア選手権で優勝した月岡ノエルが目の前にいるのだ。彼女とヨナは親友でもありライバルでもあった。 
「話を聞いてびっくりしてきたのよ。一緒に滑りたくて」
「それならいいけど…」
「すみません、急に押しかけてきて」
 小さな背の男が割って入ってきた。
「俺は東京医科大学准教授を務めています真東輝といいます。今回どうしても見学して自分に刺激にしたいというものですから、一緒に来ました」
「そうですか…」
「それに、こちらにいる子も君の練習を見たがっていたんだ。里奈、挨拶を」
 中学の制服をまとった少女が頭を下げる。

「片岡里奈か…」
「この子は俺と綾乃さんとの間に生まれた輝広と同い年でね…」
「剣星さん、吹奏楽の指揮者やっているんですか」
「ああ。俺が世界で尊敬する指揮者は二人いる。鳴瀬望と千秋真一だ」
 剣星の携帯音楽プレイヤーから流れてきた音楽に里奈は鋭く聞いてきた。しかも指揮棒まで持ち歩いているのだ。 
「君もステイしとるんか…」 
「そうですね。私、父も母もいませんから…」 
「俺達が彼女を引き受けることにしたんだ。彼女は両親がいないんだ…」
 悲しげな表情で輝が話す。父親が行方不明になり、母親も何物かに自分と一緒に監禁された末に3年前に死に、自身は真東家に引き取られたという。 
「父はハヤタ自動車の研究者でした。それが5年前にいなくなって、今どこにいるのかも分からないんです。そしてその直後に男の人達が来て新たな住居として横浜に家をあてがわれて監視状態に置かれていました」 
「嫌な話だな…」 
「以前と比べると着地はうまいわよ、うかうかできないわ」 
「まだまだよ。トリプルアクセルの着地で若干違和感があるのよ。サルコウうまくなったじゃない」
 ヨナとノエルが話しながら入ってくる。 
「いい意味で刺激になったやんけ」 
「そうね…。ノエル、この人は仲田君。高校の同級生よ」 
「仲田剣星や。難波から川越にきたんや」 
「そうか…。仲田君か…、先ほどは悪かったよ」 
「いや、俺尚人さんをうっかりパパラッチと勘違いしもうて…、済みません」
 月岡尚人は苦笑いしている。剣星にパパラッチと勘違いされて怒鳴られたのだが輝が話をして収まったのである。ノエルが剣星にやや冷たい視線を投げかけようとするが尚人がなだめる。 ちなみに尚人だが、ノエルとは直接血はつながっていない。なぜなら尚人が5歳の頃に月岡家に引き取られた孤児だったからである。  

「そやけど、なしてばれたんやろ」 
「実家がハヤタ自動車コリアの販売代理店をしている関係なのかな…」 
「いや、俺は考えられへん。俺のおふくろの実家は三洋銀行の心斎橋支店の支店長をしてたんやけど、そんな非常識なことをするトップやったら伸びへんのよ」 
「そうだね…。僕も考えにくい。あなたの実家、ネットで調べたのだけど韓国で準大手の商社で国際一橋商事と提携している会社じゃないか。普通そんな企業のトップが家族の個人情報を明かすことは考えにくい…」
 尚人も厳しい表情で語る。ヨナ、剣星に案内されてノエル、尚人は川越を巡っていた。無論四人とも帽子を深々とかぶっている。ちなみに里奈は輝と一緒に町田の真東家に戻っていった。輝広が綾乃と一緒に掃除して待っているようだ。 
「お父さん、こっちこっち!」 
「ああ、遅くなって済まないな」
 佐治光太郎が微笑みながら現れる。 
「そうだな、君達においしい店として甘玉堂を案内するか」 
「両手に花、やんけ」 
「フフフ、そうだな…」
 光太郎は思わず破顔した。ちなみに二人の為に離れを予約して入れておいたのである。


                                2

「あら、剣星君じゃない」 
「つばささん、こんにちは。今日はびっくりゲスト呼んできましたよ」 
「分かっているわよ、お母さんも喜んで待っているからね」
 剣星はニヤリと笑う。玉木つばさは和服姿ですぐにヨナ達を離れへと案内する。そこで笑うのはいつもレジで精算係をしているアルバイトの少女だ。彼女はミン・グッキといい父親はヴァルハラ川越病院と連動している開業医であった。 
「あれ、いつもレジでやってるのに今日はここでなぜ?」 
「たまにはこんな事もいいでしょ、剣星」 
「まあ、いいんやけど」  
「じゃあ、目標できたね」 
「うん、ノエルの言った問題点を潰して、今度のグランプリで活躍しようね」
 ノエルとヨナは握手を交わす。 
「私もヨナに見てもらって指摘してもらった問題点を改善するからね」 
「どうだ、ここの雰囲気は」
 光太郎が微笑む。 
「落ち着いた風情ですね。まさか、和菓子屋でありながらもケーキもやっているとは…」 
「驚かないでね、みんな」
 ヨナ、剣星がニヤリとする。そこへ年老いた職人が入ってくる。 
「御年65歳、現役のケーキ職人である谷川さんのエクレアや。おいしいと評判や」 
「まあ、私の他にも上手な職人さんはいるがね」
 谷川金兵衛と胸元に刺繍されたコック姿の彼は微笑む。そこへ入ってきた初老の男。 
「よっ、モーガンさん」 
「相変わらずだな…」
 鋭い目つきの彼に震えるヨナとノエル。  

「そういうことなのか…」 
「ワシはかつてCP9で働いていたのだが、散々翻弄されて埼玉の東京支社に左遷されて最後は会社の破産でクビにされた。退職金もなかった」 
「酷い話ですね…」 
「モーガンさん、息子さんがいるでしょう。彼に頼んだら…」 
「嫌だ。あの男はワシの息子ではない、今や裏切り者だ」
 モーガンは頑として息子と会うことを拒んでいた。会社のクビで仕事先がなかったところをあの李小狼・さくら夫妻に拾われた為に当時スナックだった店で働き始めた。それが今のレストランになった『桜花』で、彼は定年退職後も自らアルバイト接客担当及び会計係として働き続けていた。 しかも、会社の倒産と同時に離婚して退職金も全て差し押さえられてしまったのだ。無一文同様になった彼に手をさしのべてくれた李夫妻には感謝の気持ちでいっぱいだ。彼にとって見ればヘルメッポが会社を辞めた結果破滅したのだという思いが強かったのだ。 
「彼の息子さん、何をしているの?」 
「彼は製薬大手のユニバーサルウェルファーマホールディングスで取締役専務として活躍しているそうだ」 
「ライザー・ワクナーとクロスライセンス契約を交わしている会社?」 
「ああ…。その分競争は激しいそうだ」
 苦々しい表情のモーガンの顔色を見てこの話を封じる光太郎。


 その1週間後…。 
「ようこそユニバーサルウェルファーマホールディングス本社へ。僕がヘルメッポです」 
「仲田です。今日は御社のイメージキャラクターをつとめています李ヨナと一緒に来ました」 
「よくここまで来てくれたかと考えるとこちらこそありがたいですよ。ところで用件は…」 
「あなたの父親です」
 ヨナが切り出す。ヘルメッポの表情がたちまち凍り付く。 
「彼は今、川越にいます。会いたい気持ちはありますか」 
「あるが、彼は拒んでいる。弁護士に頼んで接触しているがあの手この手で断られている」 
「そこで一つ、気持ちを伺いたいんです。あなたが下手に出ることはできますか」 
「父と会うのなら、僕はやる。僕が飛び出した結果、僕は大きな成功を収めたがその分迷惑をかけたことも事実だ。その罪は今でも背負わなければならない」 
「それなら一つ、アイデアがあります」
 剣星が微笑みながらヘルメッポに耳打ちする。
 

                              3

「でも、剣星ってどうしてここまで動けるの?」 
「何とも言いようがね…」
 剣星は素早く口をつぐむ。ヨナにとってこの態度は不快感である。なぜなら彼女も剣星も真剣な性格だ。 
「なぜ言わないのよ」 
「俺はフツーの学生だ。それでいいじゃんか」 
「教えてよ」 
「ダーメ。こればかりは勘弁してくれ」

 剣星は徒歩で家に戻る。 
「ただいま、じいちゃん」 
「お帰り。よく戻ってきたな」 
「じいちゃんの好きなエクレア、買ってきたよ」
 「おいおい、ワシは体重計が苦手になるぞ」
 その老人、松坂征四郎は苦笑いしている。 
「じいちゃんが親父を仲田家の婿養子にするよう言わなかったら俺はもちろん、美華もこの世にはいなかった」
「ワシら日本人はアジアで犯した罪がある。罪を一部でも背負わねばなるまいと思うてな」 
「じいちゃん結果どうだった?」 
「お前の策が功を奏したぞ。無事和解だ」 
「良かった!」
 モーガンとヘルメッポの和解に剣星は動いていた。剣星がヘルメッポに耳打ちしたのはわざとおれて謝罪する事だった。 
「お前の眼差しはワシの娘である亜矢そっくりじゃ…」 
「おふくろとこの前会った?」 
「会った。ワシは若い頃正妻の他、愛人がいた。その人物との間に生まれたのが仲田亜矢じゃ…」 
「じいちゃんは困ったんだろ?」 
「覚悟したさ。じゃが、ワシは認知することを決めていた。結果がどうであれ、ワシの命を引いた者じゃ、手は抜くまいと思うてな」
 剣星の父である仲田正文は北朝鮮出身のコンピュータエンジニアだった。その彼はアジア戦争の時の孤児の一人で、朴一族による独裁政治が崩壊した北朝鮮を救った人物が開いた孤児院に引き取られ、日本の中小企業で研修を受けていたときに松坂征四郎に気に入られて仲田家の婿養子に迎え入れられた。 そう、北朝鮮の独裁体制を打ち砕いたのはあの「戦神」セルゲイ・ルドルフ・アイヴァンフォーだったのだ。その彼が大帰化で日本籍を得ていた。その彼の日本名である吉祥寺正文から正文も名前をもらったのである。ちなみに朴一族はセルゲイの配慮によりスイスに亡命させた。セルゲイは北朝鮮の民衆から『黒き馬を討ち取った』英雄としてあがめられていたのだった。 
「ワシの罪は帳消しになったとは思わないが、幸せであって欲しい。今でもその気持ちは変わらない…」 
「だから、俺はじいちゃんの元で学びたかった…。自分だけのブラスバンドで世界に乗り込みたいんだ」 
「ところで剣星、この前お前はワシにあの留学生の娘が誰にも話していないのにハヤタ記念高校に通う月岡ノエルに知られていたという話をしていたな」 
「うん、俺それ変やと思うて…」 
「その他にも、ハヤタがらみでおかしな話が最近ある…」 
「そういえば…!!」
 剣星の脳裏に里奈の話が甦った。剣星はすぐに征四郎の耳元でひそひそ話だ。 
「じいちゃん、実は…」 
「ううむ…。大いに疑わしい話じゃ、ワシが動かねばなるまい…」 
「美華にとって嫌な話だろうね…」 
「ああ…。ワシも話すのが嫌な世界じゃ…」
 

                                4

 翌日の日曜日…。
「お父さん、差し入れの準備をするの?」 
「ああ。ネロ君が頑張っているからな」
 光太郎はヨナに目配せする。最近ではすっかりお茶を入れるのがうまくなった。 
「しかし、剣星君なかなかの男じゃないか」 
「彼?あの人かなり秘密が多い人よ」 
「こればかりは彼を信じて待つしかないさ。彼には彼なりの事情があるのだろう」

 マンションの下部にある商業施設の4階にその店はあった。 
「よっしゃぁ、キャンバス搬入が終わりました!」 
「ありがとう、剣星君」
 若い画家が笑顔で剣星に握手を求める。剣星はこの店でレジ係のアルバイトをして高校の学費の一部に当てていたのである。年老いた犬に声をかける剣星。今日は高校生を対象に格安で油絵教室を開くのだ。 
「パトラッシュ、ごめんごめん。待たせちゃって」
 ぬっと動き出し、剣星に寄り添うパトラッシュ。 
「オーナー、あんた大丈夫なのか?」 
「僕の理想は誰もが油絵に親しめる環境を作りたいんだ。そのためならば僕は自分の私財をつぎ込むことも辞さないよ」
 清潔感のある男がちょっと長髪の男と話しながら入ってくる。 
「オーナー、ちょっとパトラッシュと散歩してきます」
「彼女が来るのを避ける為か?」 
「違いますって。親父さんとの時間を潰すのは嫌ですからね」
 そういうと剣星はパトラッシュの首輪に縄をつける。パトラッシュは落ち着いていたが剣星に促されるとゆっくり走り始めた。

 剣星が去って5分後…。  
「剣星君、ここにいないの?」 
「ああ、ちょっと散歩に行っているんだ」
 洋画家のネロ・ダースは済まなさそうな表情だ。 
「気を遣わなくてもいいのに…」 
「彼は彼なりの義を尽くしている。仕方がないだろう」
 年老いた男がそこに入ってきた。更には30歳代の男と、美女、はげかかった50代の男が入ってきた。済まなさそうにショートヘアの美女が入ってくる。 
「父さん…」 
「油絵のセットの準備も何とか調達が終わった。いや、我らがスポンサーの条件は厳しい」 
「そうでもしないとケンゴはん厳しいやんけな、ヨナはん」
 30代後半の男はあの遠野ケンゴだったのだ。このケンゴ、ケチでかなり知られており、彼が率いる投資ファンドアークヒルズファンドは東証一部に上場している企業で有名である。そもそもこの会社、元はキッチン製造会社の難波工業という会社だったのだが、投機筋の玩具にされて会社の経営危機に陥っていたところをケンゴ達が自腹で買収し、異業種の住宅メーカーや不動産業と合併させて経営再建を果たしたのであった。 その後にケンゴに駆け込んできたのが大木忠信だった。アイアンウッドファンドの前身の朝比奈ファンドに息子の忠則が株式を売却したので対策を頼んできたのだが、ケンゴは自身が買収することを提案した。その上で二人と膝を交えて話し合い、親のエゴの醜さを諭して忠信は自分の非を認め、謝罪したのだった。そんな二人をケンゴはアークヒルズファンドの正社員に招き入れたのだった。
「私が強引に忠則をハヤタ自動車の社長に据えようとしたから、反発を招いてしまった。今でも済まないと思う」
「もうそれは終わったことだ。だが、今のハヤタ自動車は闇の世界の貯金箱だ」
 ケンゴは苦々しい表情で話してきた忠信に向き合う。
「朝比奈ファンドに僕がうっかり売却したことが、全ての失敗の始まりなのか…」 
「そうではない、そもそもその朝比奈ファンドが闇社会の貯金箱そのものだったんだ」 
「ものづくりの心を忘れるなんて最悪だな…」
 永瀬公平が苦々しい表情でぼやく。この男は特殊メーキャップアーチストで、GINの捜査部門で指導を行っているほか映画でも活躍している。 
「ヨナに済まない事しちゃった…」 
「蘭さん、どうしたんですか」
 脇坂蘭(旧姓・相模)が済まなさそうな表情だ。彼女は日本とドイツの二重国籍を持っていて、日本語・ドイツ語・英語が使えるトリリンギャルである。 
「ボクの勤務先、ハヤタ自動車東京本社なんだけど電話していたところをあのルーザ-に聞かれちゃったんだ」
「何、あのレイオフ大王にヨナの留学先がばれていただと!?」 
「そこから情報が流れたのか…!!」
 鶴田良平(55歳の美術教師)と永瀬紋音(公平の妻で一女の母、現役の美術講師)が苦々しい表情だ。 
「遅くなってごめん、パトラッシュ元気だよ」 
「剣星君!」
 しっぽを振ってパトラッシュは一同に入ってくる。


  その夜…。 東京は虎ノ門にある料亭『玉すだれ』では…。
芸者達の踊りの中無礼講が始まっていた。
 「いやぁ、前期もかなり儲かりましたな」 
「派遣社員で徹底して正規雇用を抑え、製造部門もフィリピンに移して人件費を徹底して抑制し、更に本社の事務職も大半が派遣社員。楽ですよ」 
「さすが我らがルーザー社長。藤堂先生、これからも頼みますよ、我らがメジャーセブンを」 
「指導できるならどんどんさせてもらおう。だが、GINの他にもうるさいアークヒルズファンドがわめきだした」 
「クラングループどもめ!」
 垂水嘉一が苦々しい表情でつぶやく。難波工業にハヤタ自動車の不良債権を押しつけて倒産させる計画があの遠野ケンゴと小津魁、花咲真世率いるオリナス鎌倉リゾート、日本ユニバーサル運輸グループの中核企業である山陰電鉄が共同出資して買収した結果何もできなくなってしまい、自身は不良債権の処理に伴う経営責任を取って社長から会長にならざるを得なくなった。 そこで、自身の傘下のファンドであるアイアンウッドファンドを使って日本中の企業をグリーンメーラーといわれる手法で買収し恐喝する手法を取って莫大な利益を上げ始めたのだった。 そこにカルロス・ルーザー社長が支援し、更には藤堂寅太郎が事実上のバックになって圧力をかけ始めた。 
「ですがあのうるさい男がいなくなって早5年…。いやぁ、去年は儲かりましたな会長」 
「一応涙金程度だが元DMCの二人のチャリティコンサートにスポンサーをした。新日本自動車の妨害工作は確実だな。一応念入りに川越ガイアで妨害するか」 
「それがいいでしょうな」
 寅太郎がニヤリと笑う。ちなみにあの朝比奈ファンドを乗っ取ってアイアンウッドファンドに衣替えしたのは政界を引退していたこの男の暗躍が大きい。第三党党首の大沼啓がすり寄ってくる。 
「大沼先生、今後の地方選ですが我々は個人献金という形で支援させていただきます」 
「頼みますよ。あなた方の応援で我々は伸びる、その代わりにあなた達はビジネスとしてハヤタ自動車の電気自動車を売り込めるメリットがある」 
「お父さん、あの男の周辺だけど、一部目立った動きが出てきたわよ」 
「何?」
 寅太郎の娘である弁護士の真紀が話し始める。あのCP9の弁護士チームの一人で、様々な暗躍活動に関わった女である。その彼女がハヤタ自動車の顧問弁護士チームとして関わっているのだ。弁護士チームの一員でもある飯島妙子が耳打ちする。 
「とりあえず福島では動いていないみたいです。一応念入りに動きましょう」
 ルーザーの近くで女二人が耳打ちする。 
「ルーザー社長、青バエどもがはしゃいでいます。このままでは大沼先生が危ないです」 
「分かった、あのDに仕事を頼め」
 ルーザーは苦々しい表情でつぶやく。
 

 その頃…。
 尚人は一人シャワーを浴びていた。だがその背中には大きな火傷が残っている。その火傷は自身が小学校2年生の時にノエルを庇ってポットの湯を背中に浴びた結果だった。その別の東京の事務所では…。シャワーを浴びた男が入ってくる。 
「兄貴から電話があったのか」 
「ええ…。このままでは大きな事件になるのは避けられないですって…」 
「俺が8年前に戦った意味がないのか…」
 苦々しい表情でつぶやく男の背中には大きな火傷が残っている。 
「パパ!」 
「広輝、美沙!それにマーリー!」
 ゴールデンレトリバーの犬がリンカーンの口ひげを生やした男にしっぽを振って近寄る。彼は一体…。
 


作者 後書き この話は元々Break the Wallの外伝的な位置づけで考えている作品です。 ちなみに事件にはモデルがあります。レーサー死亡事故の情報隠滅、違法な手段によるミサワホーム乗っ取りなどトヨタ自動車は反社会的な悪事を堂々としておきながらメディアの情報操作によって隠しています。私はこうした卑劣な犯罪を許すわけにはいきません。この話の事件のモデルは三菱自動車によるリコール隠しなども加えながら作っています。 最後に出てきた一家は大体以前の話を把握していたら分かると思います。
 
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Neutralizer加筆:『フランダースの犬』原作者についてはWikipedia日本語版より引用しております。
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