現代社会をシミュレーションした小説を書いております。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
今回は17話、17.5話、18話、18.5話を再編させていただきました。
当然ですがファイルがかなり大きくなりましたのでPDFファイルにてアップデートさせていただきました。 http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/2c4b561121674b831ec3d650a32f42eb/1320545465 なお、アクロバットリーダーがない場合は本家本元からのダウンロードをお勧めします。今回再編するにあたり若干お話しますが、オープンオフィスのPDF作成ツールを使っています。 http://www.adobe.com/jp/products/reader.html PR 今回よりファイルが大きいため、PDFファイルでの更新となります。 ファイル上7話となっていますが加工した結果8話となりました。ご了承ください。 http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/2c4b561121674b831ec3d650a32f42eb/1320481523 真実の礎 7話(14.5話) コメディ『派遣国会議員』外伝『真実の礎』第十四.五話:リブゲートの尻尾(Neutralizer)を今回再編集しました。 1
真咲なつめが盲腸炎で入院する一週間前、アイヌモシリ共和国の都市である札幌で市長選挙が行われた。
同じ頃、東京・虎ノ門にあるリブゲート本社ビル…
「…ん?」
時間は少し遡って…
杉山陣営の選挙活動員達が戻ってくるまでの間に彼の事務所には後援会の関係者達が来る。彼らは当然リブゲートと関係がある企業の経営者である。
「ぜんぜい~、だだいま戻りまじだ~」
「相棒!運転手ともう一人の男がなんか配っているぜ」
「動くな!警察だ!」
「すみません!あの三人を取り逃がしてしまいました!」 編集者あとがき さて、彼らは一体どうなるのでしょうか。8話にこの話の後編を乗せます。 なお、今後のファイルの公開にはPDFファイルを活用していくことになります。内容が大きくなってきているためにやむなく採用させていただきます。 著作権者 明示 特捜戦隊デカレンジャー (C)東映・東映エージェンシー・テレビ朝日 クロサギ (C)夏原武・黒丸・小学館 電脳警察サイバーコップ (C)東宝 フロントミッションシリーズ (C)エニックススクウェア
1
塔和大における麻薬事件は関東連合だけでなく様々な所で波紋が広がっていた・・・。 「あ、お父さん・・・。うん、ニュースで見たよ・・・えっ、そうなの?・・・うん、分かった。お兄ちゃんには知らせる?・・・うん、それも分かった。私もお客さん達に頼んでみる」 「さくら、藤孝さんから?」 「うん、大学の事件を調べてくれるようジャーナリストの人達に頼んで欲しいって」 ここは武蔵国川越にあるバー『桜都』。この店を経営している李小狼(リー・シャオラン)・さくら夫妻の元にさくらの父、木之本藤孝から電話があった。 「あんなことになるとは・・・藤孝さんもショックだろうけど、柳沢教授の家族はもっと深刻だろうなあ」 「そうね、特に世津子ちゃんは恋人がああなってしまったんだから」 時間は夕方、店は開いている。 「あ、知世ちゃんいらっしゃい」 さくらの幼馴染である大道寺知世が店に入ってくる。彼女は小さい頃からデザインセンスが抜群でさくらの為にいろいろな服を作ってあげていた。今ではその才能を生かし、『DAIDOUJI』ブランドを立ち上げる一流ファッションデザイナーにまでなった。 「さくらちゃん、事件のこと聞きましたか?さぞかしショックだったでしょう」 友世は心配そうな顔でさくらに言う。 「ほえ?・・・ああ、大学のことね。大丈夫だよ、むしろ柳沢家の人々のことが心配で」 「ホントですわねぇ。あそこの家族にはさくらちゃんのお父さんもお世話になってらっしゃるのに」 「そうだね。あ、そうだ、お父さんからさっき電話がきてね、事件を調べる為にジャーナリストの人達に頼んで欲しいって言ってたよ」 「そうなのですか、私もお手伝いさせて下さいな」 「ありがとう、知世ちゃん。あ、いらっしゃいませ」 知世とさくらが話しているところへお客が来た。フリーカメラマンの反町誠である。 「こんばんわ、あれ?確か貴方は『DAIDOUJI』ブランドの・・・」 「大道寺知世ちゃんだよ。私の幼馴染なの」 「いや、これは驚いた。ママと幼馴染とは・・・」 「あ、反町さん。いい所に来てくれましたね。実は頼みがあるんですよ」 小狼が反町に言う。 「マスター、頼みって?」 「塔和大の事件をご存知でしょう」 「ああ、あの事件か。俺もどうも臭いと思っていたところなんだ」 「実はその事なんですけど調べてもらえないでしょうか?藤孝さんから頼まれましてね」 「いいけど、あの男もいるじゃないか。そいつにも頼めば」 拳志郎のことである。 「もちろんですよ、というより柳沢教授が頼んでいます。あの人、塔和大の卒業生ですし何より柳沢教授に恩義がありますから」 「そうか、そうだったな。よし、天馬と俺と同業の姫矢にも頼んでみるか。後は・・・」 と反町が言っているところにさらに二三人お客が来た。 「いらっしゃいませ」 「よう、ジェナスじゃないか。ラグナにセラも一緒か」 「反町さん!お久しぶりですね。」 「ああ、元気そうだなセラ、姫矢には会ったかい?」 「ううん、でも元気そうみたいね。反町さんの顔を見たら分かるもの」 「ハハハ、こりゃまいった」 「ところで何か話してたみたいだけど」 とジェナスが言う。 「塔和大の事件のことだよ。マスターから調べて欲しいってさ」 「あれか、確か薬害疑惑にも関係あるってもっぱらの噂だからな」 とラグナ。 「ビアスの独壇場だな。大学もあのサザンクロス病院も」 「いやジェナス、彼の後ろには『元斗会』がいる。彼らが真の黒幕というわけだ」 反町は顔をしかめて言った。 同じ頃、そのビアスはというと・・・ 「へっへっへ教授、ありがとうございます」 「いやなに礼を言うのは私だよ、竹内君。君がうまくやってくれたおかげで今の地位をつかむことができたのだから」 「なあに、礼ならここにいる兄貴に言ってくだせえ」 ここは千葉市内の、とある居酒屋。この店の個室でビアスが二人の男達にお金を渡していた。その内の一人は映画『犬養家の一族』に出てくる佐清(すけきよ)のような覆面をしている。 「クックック、拳志郎め。これはまだほんの序の口さ、復讐はこれからだ」 「随分執念深いな、ジャギ君。それほどまでにあの拳志郎が憎いのかね?」 ビアスが覆面をした男に尋ねる。 「教授、こういう顔になれば誰だって復讐が沸き起こるものでさあ」 とジャギは覆面を取る。余りに醜悪な顔にビアスは思わず目をそむけた。 「本来は俺があの道場を継ぐのが正当だった。ラオウもトキも壬生国の国会議員になったし、ヒョウも本家を継いだのだからなあ。しかし、師であるリュウケンが後継者に拳志郎を指名しやがった。俺が兄貴分であると同時に実力は俺の方が上なのに!」 ジャギはそこまで言うと机をドンと叩いた。尚、彼のいう道場とは壬生国にある拳志郎の実家が開いている拳法道場のことであり、ヒョウは拳志郎の実兄である。ちなみにヒョウはカイオウの妹であるサヤカを妻にしている。 「そこで俺は奴を殺そうとしたが隙がねえ、そこでユリアに目をつけた。あの女を始末すれば脅しにもなるからな。ユリアの始末はうまくいったがあの時に運悪く車が炎上して火傷を負ってこんな顔になっちまった」 そう、二年前の事故はジャギによる殺人だったのだ。それもとある企業からの依頼であった。 「・・・・・」 「へへっ兄貴、面白くなってきましたなあ」 ともう一人の男、竹内が言う。 「何言ってやがる竹内。これから面白くするのよ、これからな」 とジャギが不敵な表情で言う。二人のやりとりを聞きながらビアスは過去の回想にふけっていた。 (・・・あれはいつ頃だったか・・・) 『馬鹿な!患者が死んだだと!?そんなはずは・・・』 (そう、あの時私は壬生国の大学病院で手術に失敗した。当然、責めを負うことになったわけだが・・・、後々の事を考えると苦悩し、自殺まで考えるようになっていた・・・) 『教授、お久しぶりですねぇ。随分、暗い顔をなされているじゃありませんか』 (そんな時だった・・・大学病院時代の弟子であったスパンダムと再会したのは・・・) 『ほほう、なるほどねぇ。教授、もしよろしければ私が手助けいたしますが』 (彼は成績が最悪だった、しかし立ち回るのは何故かうまかった。大学卒業後、確か彼は父親であるスパンダインの企業に入った。それがCP9製薬だったわけだが・・・) 『教授、何を躊躇ってらっしゃるんです。貴方は不祥事を隠すことができ、私はこの日本に進出することが出来る。お互いこんな得することはないじゃないですか』 (私は迷った・・・スパンダムの提案というのは私の医療ミスを改ざんする代わりに彼の会社のスポンサーになることだった。これはかなり魅力的だったし、転落を免れる唯一の手段だと思ったからだ) 『教授!本気ですか!?あいつの企業はかなりの不正をやっているのですよ。ただでさえ、真面目に学問をやらずあっちこっちと立ち回っていただけの奴の不正に手を貸すのですか!?』 (当時の弟子であった月形剣史、仙田ルイ、尾村豪らに相談してみた・・・案の定スパンダムの提案に反対したな。彼らはスパンダムを嫌っていたからだが・・・その上、彼らと同期であった四宮蓮と北見柊一もスパンダムの事を勘付きはじめたことにより焦った。そして・・・) 『ダーハッハッハ!教授、よくご決心なされましたね。これで貴方も安泰ですよ、首がつながってよかったではありませんか。』 (彼の策謀により私の医療ミスが闇に葬られ、代わりに一人の医師を身代わりにした。この時からだ、私の手が黒く汚れ始めたのは・・・。しかし、もう後戻りは出来ないし、いっそ黒く汚してしまえと心の中で居直ったものだ・・・) 「教授よぉ、どうしたんですか?そんな深刻な顔をして」 ビアスは竹内の呼びかけで我に返った。 「いやなに、昔のことを思い出していただけさ」 「なあんだ、そんなことか。そんなことより一杯やりませんか、気楽にいこうじゃありませんか」 と竹内はビール瓶の口を彼に向ける。 「あ、ああそうしようか」 『先生、変わったね・・・』 (!・・・あの少年は確か、ある事故で負傷し私が手術した・・・。何故、あの少年はあんな悲しげな顔をしていたのだろうか?・・・それにしても何故あの少年のことを思い出したのだろうか・・・) ビアスはコップを手に取り、竹内が注ぐビールを受けながら突如思い出した少年の事にふけった・・・。 「なんだって!柳沢教授の辞退にそんなことが!?」 壬生国派遣国会議員、木之本桃矢に父である藤孝から連絡が届いたのは妹のさくらが同じ電話を受けた30分後のことだった。 「桃矢、藤孝さんはなんて?」 彼の秘書であり、親友である月城雪兎が桃矢に尋ねる。 「父さんのところの大学での事件を知ってるだろう、柳沢教授はビアスの罠にはまったそうだ」 「えっ!?」 「すぐにでも行くぞ、車の用意だ!」 「行くってどこに?」 「トキさんのところだ、あの人の弟分であった拳志郎さんも動いているはずだ。それにトキさんは医療問題にも詳しいからな。父さんまでビアスの犠牲になってたまるか!」 桃矢は派遣国会議員となったばかりのころ、トキにいろいろと世話になったことがある。それ故、彼の兄であるラオウやカイオウにも会っているが彼らが同じ省内で朽木一派と対立していたこともありトキと共に二つのグループの仲介役もしている。 「桃矢、選挙のほうは?」 「それも気にかかるがまずは大学の事件だ。もしかすると…」 「もしかすると?」 「この国の選挙とつながりがあるかもしれん。あのCP9がリブゲートと提携したからな」 二人は壬生国の行く末に不安を持ちながらトキのところへ向かった…。 2
「なつめ~、お見舞いに来たぞ~!」
漢堂ジャンが久津ケン・メレ・バエ(本名:的場栄介)、それに二人の少女を連れて真咲美希の娘、なつめが入院しているサザンクロス病院にやって来た。なつめは二週間前に盲腸炎を起こして入院し、手術を受けたのだった。 「ジャン!それに舞にリジェまで来てくれたんだ」 なつめは大いに喜ぶ、それもその筈、ジャンが連れてきた二人の少女はあの『恐竜や』の店員、白亜凌駕の姪である白亜舞と大野アスカの娘であるリジェだったからである。もともと『恐竜や』のあるホテル『リック』と『スクラッチエージェンシー』のあるビルは歩いて五分の距離にあり、なつめと舞・リジェの三人は通う小学校が同じ事から親友なのである。 「ねぇ舞、『恐竜や』はどうなの?」 「お客さん全然来ない。凌ちゃんやアスカさんがなんとかしようと走り回ってるんだけど」 「そっかぁ、当てがないんだ…」 「え~、あそこダメダメか~?」 「ジャン!ダメダメじゃないの!!」 「ごめん、なつめ」 「くそっ!あそこのカレー、俺好きなのになぁ。親父さんを騙すとは許せねぇ!!あのオカマ野郎!!」 ケンが憤る、彼も『恐竜や』の顛末を知っているのだった。 「それより、なつめちゃんもう大丈夫なの?」 とリジェが訊くと 「うん、もう平気。あと少ししたら退院だよ」 「よかったあ、ここ悪い噂が立っているからってママが言ってたから心配したよ」 「あれの事?大丈夫よ、手術してくれた先生があれを使わなかったって言ってくれたから」 「ならいいけど。あ、テレビ見ない?」 「そうね、なんかやってるかなぁ」 なつめがテレビをつけるとその画面にはボクシングの試合が映っていた。
『さあ、本日のタイトルマッチは小津翼VS鰐亀広樹という好カードとなっております。実況は私、福原一郎がお送りしてまいります。解説はテリー和田さんです、よろしくお願いいたします』
「ちょっとそこの人!病院内では走らないで下さい!!」
「ゲッ!ヤベぇ!ばれちまった!」
一方、鷹介とサーガインは…
「おい、アイツらだ。間違いねえ」
「クッ!しつこいな。タクシーはまだ来ないのか」
「どう?フラビージョ」
「ちょっとそこの人」
「ジャン、いつまで不貞腐れているのよ。悔しいけど仕方ないじゃない」
「ほんま、すんまへん」
「最悪や…わてらは最悪や」
その頃、『オボロゲクラブ』事務所では…
「…ええ、そうです。お願いします」 わが盟友Neutralizerと苦労を重ねながら打ち込んできたのがこの真実の礎です。 今回の盗聴騒ぎですが、実生活でもさまざまな形であります。しかも、盗聴までまかり通り販売される有様です。今回の作品で出てきた少年ですが、彼は後々に本編で出てくる予定です。今回は今まで出てきた作品を使ったため著作権者の明記は差し控えますが、著作権者への尊敬の念は忘れていないことをここに改めて表明いたします。 今回新たに東京大学物語 (C)江川達也・小学館 を採用させていただきました。水野亜美の名前と東京大学物語のヒロインである水野遥の姓が同じと言うところに着目した結果です。概念に振り回されることなく、発想を広げていこうと思っています。また、福原一郎という人物は田原総一郎、斉藤一美(文化放送で過去人権無視のひどい放送をしでかした)、福澤朗、みのもんたの最悪の部分を集めこんで作ったキャラクターです。また、テリー和田なる人物は和田アキ子、テリー伊藤、北野武の合体したモデルと思っていただけると幸いです。
1
「いらっしゃいませ~」
ここは東京都内にあるハンバーガーショップ。ここに何故かジュウザが来た。彼は店に入るなり、店内を見渡す。そして何を見つけたか一人頷くとカウンターに行き、妙な注文をした。
「いらっしゃいませ~ご注文をどうぞ」
「ダークマインダーを一つ」
すると彼の注文を聞いた女性店員はにこやかに
「あのう、当店ではそういった物はお取扱してはおりませんが」
「あれ~、おかしいな。この店の裏メニューにあるって聞いたんだけど間違えたかな?あ、そうか!夜だけの特別メニューだったっけアハハハ…」
店員はキョトンとしている。
「いやぁごめんごめん。じゃあハンバーガーを一つ」
「ありがとうございます、ご一緒にポテトとお飲み物もいかがですか?」
「ああお願いね。ここで食べてくから」
「かしこまりました~ありがとうございます」
ジュウザは代金を払うと店の奥の席に座る。しばらくして店員が注文した物を運んでくる。先ほど対応した店員だ。
「お待たせしました~ごゆっくりどうぞ~」
と言うとジュウザは片目をつむる。店員は一瞬嫌な顔をしたがすぐに去る。一方のジュウザは食事を済ませると店を出て裏へ回った。
数十分後、裏からあの店員が出てくる。彼の注文を聞いた店員だ。彼女の顔は店内とは打って変わって渋い表情である。
「何の用なのさ」
言い方もぶしつけである。
「そう嫌な顔をするなよ~シズカちゃ~ん。仕事の依頼で来たんだから~」
「そんな声で言われるとやりたくない!帰る!」
「そう言わずに聞いてくれよ。あの暴れ馬の事を調べて欲しいんだからさ」
プイと横を向いていた『シズカ』と呼ばれた女性の顔がジュウザに向く。
「暴れ馬…あの?」
「そう、あれさ。ニュース見ただろ?あれが流行り始めてるんだ。世の女達があれに踏み潰されるのだけは見てられないんだよ」
暴れ馬とは麻薬『黄色い馬』の事である。
「…でどこを調べればいいのさ?」
「『マボロシクラブ』、勿論報酬は弾むさ」
「そんな事言って、前の時は競馬で使っちゃって払わなかったじゃないか!あの時のツケまだ残っているからね」
「分かってるって!頼むよ、もう犠牲は妹でたくさんだ」
「……」
実はジュウザには腹違いの妹がいた。それを知ったのは五年前の事であり、その時のショックは大きかった。何故なら当時彼女を妹と知らずに恋心を抱いていたからだった。そしてその妹こそ、拳志郎の婚約者のユリアだったのだ。ユリアは二年前、交通事故で亡くなったがジュウザは彼女がある事件に巻き込まれたと思っている。シズカはかつてその事故をジュウザから頼まれて調査に協力した事があるだけに彼の気持ちを知っていた。
「…分かったよ、でも今度はちゃんと支払ってよ」
「ああ、前の分も含めてな。で、よかったら…」
「うるさい!誰がアンタと食事するものか!ベーだ!」
とシズカはジュウザに舌を出して店に戻っていった。彼女はジュウザが専属で頼んでいる情報屋『ダークシャドウ』の一員『風のシズカ』である。店内でジュウザが言ったあのおかしな注文は仕事依頼の為の合言葉だったのである。
「お疲れさまで~す、お先に失礼しま~す」
シズカはバイトを終えると、とあるビルに向かう。そのビルの屋上には庵みたいな小屋があり、そこが『ダークシャドウ』の活動拠点である。
「月光様~ただいま戻りました~」
シズカが言うと奥から
『戻ったか、シズカよ』
と老年の男の声がした、とはいっても小屋の奥には木彫りの梟があるだけである。
「月光様、仕事の依頼です」
『あの『雲』からか?』
ジュウザの事である。
「はい、でも…ちゃんとお金払ってくれるかどうか…」
『お前の気持ちも分かるが奴には借りがあるからのう』
月光の言う『借り』とは三年前にある調査をした時の事である。シズカが途中でドジを踏んで追われている時にジュウザに匿ってもらったのだけでなく今の拠点まで世話してもらったのだった。
「?」
二人は外で「シャーッ」という音を聞いた。
「月光様!」
『あのバカ息子め!またやっておるのか!シズカ、行って止めてこい!!』
「え~、またですか~」
『つべこべ言わずに早く行け!!』
「は~い」
シズカは戸の前に行き、少し開けて外を伺うとさらに開けて外へ出た。
「あっ、いたいた!若様~、そんな所で立小便はやめて下さいって言われてるじゃないですか!」
シズカは小屋の上にいる若者に叫ぶ。
「うるせ~な、ここでやるのが気持ちいいんだよ」
『若様』と呼ばれた若者が答える。彼の名も『月光』である為、『二代目』とも呼ばれる。
「何言ってるんですか!私達、追い出されますよ!とにかく仕事の依頼がありましたから中に入って下さい!月光様がカンカンですよ」
「親父が?チッ、分かったよ!今行くべ!」
彼は舌打ちすると下に降りる。この若者、態度も言動も野卑である。
『このバカ者め!いつになったらあの癖をやめるのだ!あれで足がついたらどうする!』
「うるせ~な親父、そんときゃ逃げて隠れりゃいいだろうが。俺達ぁ忍者の家系なんだからさ」
『えーい!それでもお前はこの『月光』の名を継ぐ者か!情けない…』
この親子はしばしば口喧嘩する。
「あの~月光様、そんな事より…」
『ああそうじゃったのう。『雲』より仕事の依頼じゃ。暴れ馬が出始めたので『マボロシクラブ』なる所を調べて欲しいとの事じゃ』
「『雲』がか親父?あの女好きの奴が?」
「若様!」
『とにかくじゃ、あのクラブから暴れ馬が出ているらしい。コウモリと連絡を取って潜入調査せよ』
『コウモリ』とは『スチールバット』という女性の事である。彼女も『ダークシャドウ』の一員であり、二代目月光にとっては頭が上がらない存在で彼女の事を『姉貴』と呼んでいる。
「分かったべ、親父。で姉貴はどこに?」
『秋葉原じゃ、あそこでバイトしているそうじゃから連絡を欠かさないよう』
二人が出て行くと頭梁月光は一人呟く。
『…シズカはともかく息子は大丈夫かのう。ご先祖様、わしは息子の育て方を間違えましたじゃろうか?』
一方、ジュウザはというと…
「で、あの子入院しちゃったの?サラちゃん」
「うん、ママもやめるよう言ったし、刑事さんが協力して病院に引っ張って行ったの」
ここはパブ『ラビアンローズ』、ジュウザ行きつけの所である。最近ここで働いている女性の一人が麻薬を使用して入院したと聞いたのである。
「あら、雲さん。何の話?」
この店のママであるエマリー・オンスが来てジュウザに尋ねる。彼は水商売の女達から『雲さん』と呼ばれている。
「ああ、ママか。フォウちゃんの事だよ」
「ああ、フォウちゃんね。誰に誘われたか知らないけどあんなことになって…刑事のカミーユさんも特に気にかけてたから」
「一ヶ月前からだったね?確か」
「そう、ニュースで知ってると思うけど、あの時は禁断症状出ていたからアパートで暴れて…たまたま刑事さんが住んでいらした所で助かったわ。あの二人できてたそうだから」
彼らが話している『一ヶ月前の事』とはこのパブのホステス、フォウ・ムラサメが麻薬『黄色い馬』に手を出していた事である。その事は彼女が住むアパート『ネェル・アーガマ』で発覚し、同じアパートに住む刑事、カミーユ・ビダンが暴れる彼女を病院へ引っ張って行ったのである。その時このパブは営業停止に追い込まれるところであったが突如お咎め無しとされたのだった。ジュウザは口にこそ出さないもののこの事を怪しんでいた。さて、彼らが話していると店の入り口から二人の男が入って来た。その二人を見た時、ジュウザの目が一瞬光った。
2
「あっ、シロッコさんだ。雲さんごめんね~」
パブ『ラビアンローズ』のママであるエマリー・オンスとホステスのサラ・ザビアロフがジュウザのいる席を離れ、入ってきた二人の男のところへ行く。そう、入ってきたのは喪黒の秘書、パプテマス・シロッコと彼の参謀役である長谷川理央である。
「シロッコさん、いらっしゃい。あら、理央さんも一緒ね」
「やあ、ママ。彼女いるかい?」
「また、レコアさん?ひどい、いつもあの人なのね」
サラが焼きもちをやく。
「フッ、ならば君も指名させてもらうよ」
「何よ、レコアさんのついでみたいな言い方をして」
サラはシロッコの腕をつねる。
「ハハッ、ごめんごめん」
「シロッコさん、いつもの席でいいかしら?」
「ああ、ママ頼むよ」
「ほら、サラちゃんもすねてないで案内して」
「は~い」
そのやりとりをジュウザは気付かれないよう目で追っていた。
「シロッコ…」
「やあ、来たよ」
「…顔つきが変わったわね」
「そうか?前と変わらないと思うが?」
「変わったわ…。貴方が喪黒福造の秘書になってから何かに飢えているような目つきだもの」
レコア・ロンドはこの『ラビアンローズ』で特にシロッコから目をかけられているホステスである。それもその筈、彼女はシロッコの愛人でもあるからだ。
「さて、理央」
レコアがウイスキーをグラスに注いでいるところに目をやりながらシロッコは理央に話しかける。
「…あの件か」
「ああ、奴らはうまく動いてくれている」
「シロッコ、何を企む気?まさか、あそこを…」
「レコア、そこまでだ。俺達の事を調べている連中は多い、『壁に耳あり』と言うだろう」
「そういう諺はよく知っているのね」
レコアは皮肉を言う。
「当然だ、それくらいの教養はないとな」
シロッコは動じない。その時、理央の携帯電話が鳴る。
「シロッコ、すまない」
「いいとも、出たまえ」
理央は携帯電話を出して、つないだ。
「俺だ」
「理央様、大変です!警察がそちらに向かっています」
電話の相手はメレ(本名:斑目麗奈)である。
「警察が?分かった、お前はうろたえずに今いる所で待機していろ」
「しかし、理央様…」
「うろたえるなと言った筈だ。心配するな、俺がいる限り法を踏み外すような真似をシロッコにさせないさ」
「…わかりました。お気をつけ下さい」
理央は電話を切る。
「どうした?」
「メレからだ、警察がこっちに来るらしい」
「ほう、ならば待っていようではないか。堂々と」
「随分余裕ね、何か企んでいる割には」
「はて、何の事やら」
シロッコは惚けた。
数分後、刑事が二人店に入ってきた。そのうちの一人はあのカミーユ・ビダンである。
「パプテマス・シロッコだな」
「ああ、そうだ。何か用かね」
「リブゲートが経営している『マボロシクラブ』の事で訊きたい事がある。近頃、そこで麻薬パーティーが行われているという事を聞いた。現にそこに行った数名が麻薬中毒になっているが心当たりはないか?」
「ほう、それは心外だな。大体麻薬など初耳だぞ。従業員からはそんな事は一切聞いていない」
「ならば、麻薬パーティーの事はどうだ?」
「ふむ、恐らく従業員の中にそういう事を無断でやっている可能性があるかもしれないがそちらはその線は考えなかったのかね?」
「既にクラブのホストやホステス達から訊いている。いずれにしてもまだ調査中だから任意同行は求めないが従業員には麻薬の事は厳重に言っておく事だな」
「ご親切にどうも。そういえば、カミーユ君だったね?君もここのホステスと付き合っていたそうではないか」
「俺は今回の事に私情は挟む真似はしない。あくまで公務だからな、失礼する」
カミーユともう一人の刑事は店を出る。シロッコは冷ややかな目で彼らを見送る。レコアは席を立つ。
「どこへ行く?」
「安心して、貴方を売るわけではないわ。別の用事よ」
そう言ってレコアは店を出て行く。そのやりとりもジュウザは気付かれないように見ていた…。
「待って、カミーユ」
レコアはカミーユを引き止めた。彼女はフォウを通じてカミーユとは知り合いである。
「すみません、亀山さん。先に車に戻っててくれませんか?彼女と二人きりで話したいので」
カミーユはもう一人の刑事、亀山薫に言う。
「おいおい、俺達ぁまだ仕事があるんだぜ」
「五分だけでいいです。すぐに行きます」
「…しょうがねえなあ、五分だぞ」
亀山は車を止めてある場所へ向かった。
「カミーユ、ごめんなさい」
「いいんですよレコアさん。フォウが麻薬に手を染め始めた時、貴方も止めようとしてくれたのですから」
「ええ、そうだったわね」
「しかしレコアさん、あの男とは…」
「お願いカミーユ、分かって。彼は…シロッコは私を女として見てくれている只一人の男よ。貴方が彼を怪しむのは分かるけど…」
「レコアさん…。しかし俺はレコアさんを犯罪者にしたくない。それはきっとフォウも同じだ。これは刑事としてだけではない、一人の男としても言っているんだ」
「ありがとうカミーユ…。でも…」
「レコアさん、もう行くけど最後にこれだけは言わせてくれ。俺はシロッコを捕まえる、なんとしてでも奴の背後にいるリブゲートの犯罪は暴かなくてはいけないんだ。レコアさんがどの立場に立つかは自由だけどシロッコ側に立つのなら俺は容赦しない、いいですね」
レコアが黙って頷くとカミーユは亀山のいる車へ向かい去っていった。
一方その頃、『ラビアンローズ』の店内では…。
「さてと理央、話の続きだが…」
「ああ、例の立ち上げか」
「そうだ、喪黒に悟られずにあれの売り上げをちょろまかしているからな。資金は豊富だ。まあ、最も奴らには人材をたっぷり回しているがな、選挙の為に」
「そうか、ところで塔和大学であれに関連した事件が起きたが…」
「フッ、俺達には関係ないさ」
「そうだったな」
(なるほどね、どうやら奴は独自に何かやらかすつもりだな。喪黒に内緒で)
ジュウザは彼らのやりとりを聞きながらそう感じた。
場所は船橋に移る…。
ある女性二人がとあるマンションの前で話している。
「あれ、うまく仕掛けた?」
「バッチリ、バッチリ~!七海こそ、変装うまくいってるじゃ~ん」
「シッ!いいから離れるわよ。…にしても鷹介の言う通りね、スカートめくりとはよく言ったものね」
果たして、彼女達はこのマンションで何をしていたのだろうか?
編集者あとがき:
話も徐々に中盤に入ってきているのですが、麻薬騒動はほんの入り口に過ぎません。
あの酒井法子がなんと執行猶予の後に芸能界に復帰しようと画策しているのですがこれは以下に薬物に社会が甘いかを物語っている証拠ではないでしょうか。また、ハラスメントにも日本はめちゃくちゃ甘いのです。海外ではハラスメントは犯罪として裁かれていることを皆さんどう思うのでしょうか。
今回の話の最後に出てきた二人が何をしていたのか、それは次回のお楽しみという事で!
著作権者 明示
『インディアナ・ジョーンズ シリーズ』 (C) 原案はジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ 制作・ルーカスフィルム
特捜戦隊デカレンジャー (C)テレビ朝日・東映・東映エージェンシー 2004-2005 脚本 荒川稔久 他
特救指令ソルブレイン (C)テレビ朝日・東映・東映エージェンシー 1991-1992 脚本 杉村升 他
『空想科学世界ガリバーボーイ』 (C)ハドソン・東映アニメーション 1995
轟轟戦隊ボウケンジャー (C)テレビ朝日・東映・東映エージェンシー 2006-2007 脚本 會川昇 他
忍風戦隊ハリケンジャー (C)テレビ朝日・東映・東映エージェンシー 2002-2003 脚本 宮下隼一 他
『相棒』 (C)テレビ朝日・東映 2000-
『ミスター味っ子』 (C)寺沢大介・講談社
電脳警察サイバーコップ(C)東映 1988 |
カレンダー
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
最新記事
(03/24)
(01/20)
(01/13)
(12/22)
(10/17)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
Neutralizer
性別:
男性
ブログ内検索
最古記事
(08/17)
(08/18)
(08/26)
(09/10)
(09/24)
P R
|