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現代社会をシミュレーションした小説を書いております。
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 秋葉原で銃撃事件があってから二日後…壬生国の総選挙が明日に迫っていた…。
 
「中村さん!!貴方という人はどうしてこうも足を引っ張るのですか!!?他のメンバーは本間自動車の社員にノルマ攻勢を掛けてがっしり打っているのに貴方は何の成果もあげてないじゃないですか!!」
「はあ…いや、申し訳ありません…」
「申し訳ありませんで済みますか!!全く穀潰しそのものですよ…いいですか、今週中に何か一つでも契約を取り付けなさい!いいですね!!?」
「はあ…はい…」
「もう~何ですか!!その気のない返事は!!全く、貴方みたいな穀潰しを置いてやっていることに感謝ぐらいして下さいよ!!とにかくノルマぐらいちゃんとこなしなさい!!」
「はい…」
 ここは浜松にある井川タワービルの一角にあるリブゲートフィナンシャル壬生支社。ここの営業課長、リチャード・ボイス・田中に怒鳴られて頭を下げている一人の中年社員がいた。彼の名は中村吉之助、47歳。家に妻と姑、娘二人という女系家族を持つうだつが上がらないサラリーマンである。
「あ~あ、まただよ課長のヒステリックボイス…」
「しかも決まって中村さんだもんねぇ…」
「無理もないわよ、あの人何の業績も上げてないんだから…」
 中村に向けられる侮蔑の表情とひそひそ話。そんな状況を知ってか知らずか彼はすごすごと自分の机に戻っていく。だが、この男にはもう一つの顔があった…。
 
「やれやれ、冗談じゃないよ…いつもこれじゃさあ…」
「何言ってんだい吉っつぁん。その愚痴を聞かされる私の身にもなってよ」
 昼休み、会社の食堂の一角で吉之助は一人の女性食堂職員に愚痴をこぼしている。彼女の名は万田加代。吉之助とは顔なじみであり、こうして文句を言いながらも彼の愚痴を聞いてあげている。
「そうは言うけどさ、お前だってまたサイドビジネス探してるっていうじゃねえか。あ~あ、俺も探そうかなあ」
「おや、吉っつぁんもやる気になったのかい?だったら二人でやろうじゃないか、大金持ちになって吉っつぁんの家族や上司の連中を見返せばいいじゃない」
「よく言うよ。そうやってお前、手を出したもの悉く失敗してるじゃねえか」
「なんだい、なんだい、その気になってると思って誘ってやったのにさ」
 こうした加代との会話も吉之助の日課の一つになっている。
「ところでさあ、吉っつぁん…」
 加代は急に声を潜める。
「何かあったか?」
と吉之助も声を潜めて彼女に尋ねる。
「例の件、どうなってる?」
「ああ、あれか。いや、ひどいもんだ。東京本社じゃ地上げや詐欺同然で土地を買収してる有様だぜ、例の川崎市民会館だって電撃的に買収して即刻解体だ。たまたま課長命令で資料課に行かされたもんで調べてみたら相当な金が回って地元の市民まで買収されてたぞ」
「はあ~、そりゃ確かにひどいわねぇ…」
「それだけじゃないぞ、この壬生国で産業廃棄物の処理施設を造る計画が持ち上がってんだけどな、その処理する物が単なる廃棄物じゃないらしい」
「吉っつぁん、それって…」
「そうなんだよ、放射性廃棄物さ」
「えっ!!」
 加代は驚いて大声を上げる。当然、周囲の目が彼女と吉之助に向く。
「ハハッ、いや何でもないです…シーッ!!馬鹿!大声を出すんじゃないよ」
 吉之助は周囲に取り繕った後、小声で加代を嗜める。
「ごめん、吉っつぁん…でも本当かい?その話」
「いや、まだ計画段階だから骨組みだけだが次の会議で決定するという噂だ。その辺は俺もよく調べてみるよ」
「分かったよ、それにしてもとんでもない計画じゃないか。海かい、それとも山かい?」
「山間部だ、既に候補地は何箇所か絞られてるそうだ」
「そりゃまずいよ、つなぎつけるかい?」
「ああ、そうしてくれ」
「分かった…ああそうそう吉っつぁん、鉄さんが今日来て欲しいって」
「何か掴んだか?」
「うん、選挙のことでさ…」
「明日だったな、あの『公平透明党』だっけ?有利に立ってるのは」
「ああ、何か掴んだらしいよ」
「分かった、ついでに腰揉んでもらうとするか」
 この中村吉之助と万田加代、実は公権力乱用査察監視機構(GIN)の浜松支部の職員であると同時にGIN直属の潜入操作チーム『仕事人』のメンバーでもある。特に吉之助は支部長を務めており、更には外科医免許を持った元警察官という顔もある。権力犯罪への憤りは何よりも強く、財前丈太郎が声を掛けてGINに加入させた経緯があった。因みに加代の場合は彼女がいろんな事業を起こすも悉く失敗し、多額の借金に追われているところを中村が破産手続きの支援と身元保証人になることを条件にGINへ加入したのである。
 
 夕方…。
 吉之助は仕事を終えると駅の南側にあるとあるビルに向かう。そこの二階に彼がいつも行っているカイロプラクティック医院があるのだ。
ガチャ
チリ~ン、チリ~ン
「お~い、鉄!いるか~」
 吉之助が奥に向かって言うと
「お~う、吉っつぁんか。ちょっと待っててくれねえか、一人終わるでよぉ」
と『鉄』と呼ばれた男の声が返ってくる。
「ああ治療中か…そりゃ悪かった、んじゃ待たせてもらうぞ」
と言って吉之助は傍らのソファに座って待った。しばらくして一人の老人が奥から出てくる。
「おお、お前さんか」
「やあ爺さん、どうだね?調子は」
 吉之助は気さくに老人に声を掛ける、老人もいつもここへ通っているので彼とは顔なじみなのだ。
「いやあ、鉄さんの腕はいつもいいねえ。お陰でわしは長生きしそうじゃ」
「そりゃあよかったな、ところで明日は投票日だけど爺さん、決まったかい?」
「ああ、わしゃあ『公平透明党』とやらに一票入れることにしたよ。あそこは何かやってくれそうじゃからのう」
「そうか、そうなってくれるといいな」
「ああ、わしも期待しおるでの」と言って老人はドアを開けて去っていく。続けて
「おう吉っつぁん、待たせたな」
と坊主頭の男が奥から出てくる。彼こそがこの医院の整体師であり『仕事人』のメンバーの一人でもある『鉄』こと大仏鉄男である。
 
「お疲れだねぇ、また上司から小言かい」
「ああ、いつものことだがうるさくってかなわんよ…」
 吉之助は鉄男に腰をマッサージしてもらいながら彼と会話している。
「どうだい、今夜またクラブでも行って飲むかい?」
と鉄男が誘うが
「勘弁してくれよ、そりゃ一人身ならまだいいが俺は妻子持ちだぜ。ネエチャン達の所で飲んで帰って来てみろ、俺ん所は女系だからみんなしてこれだ」
と吉之助は両手の人差し指で頭に角を生やす仕草をする。
「やれやれ、家にいても気苦労が絶えんねぇ、オメエさんは」
「いくら仕事とはいえこの年ではキツイよ…」
「いっそ仕事先変えてもらうかい?」
「馬鹿言うな、今の状況が俺の隠れ蓑…」
「おい!吉っつぁん…」
 鉄男が吉之助を嗜めて、入り口を見渡す。
「やべぇ…聞かれたか?」
「いや、まだ待ちの患者はいねえよ。だが念の為だ」
と言って鉄男は吉之助が寝ているベッドの周りにカーテンをかける。
「これでよし」
「おう、そういやあ何か例の政党の件、掴んだそうだが」
と吉之助が声を潜めて言う。
「そのことだがな、喪黒がロンから一人紹介されているそうだ」
「秀からか?」
「ああ、偶然だがな。アイツ、仕事場の近くの居酒屋街で見かけたらしい。その証拠がこれだ」
と言って鉄男は白衣のポケットから一枚の写真を取り出して吉之助に見せた。尚、『秀』とは同じ『仕事人』メンバーの一人、村上秀夫のことであり、表向きは浜松駅前にある大松百貨店内にある宝石店に勤務している。
「ああ、なるほどな。この灰色の髪の女がそうか…」
 写真を見た吉之助は頷く、そこには喪黒とロン、更には一人の女が写っていた。
「この女の素性は?」
「まだ調査中だとよ、一体この女をどうしようというのかねぇ…」
「う~む、分からんな。だが悪い予感がする…」
「殺し屋か?」
「その可能性もありうるな」
「そうか…そうだ、もう一つCEOからも連絡がきた」
「おい!それを先に言えよ」
「悪りぃ悪りぃ…、でその連絡なんだけどよ。この日本連合国に『死神』が送り込まれてるらしいぞ」
「『死神』?」
「何でも『ミキストリ』とかいう組織らしい」
「何だと!?目的は?」
「それが喪黒の暗殺らしい。アイツ、何かやらかしたか?」
「分からんがもしかすると例の麻薬絡みのことかもしれん。アイツの選挙資金は薬(ヤク)から上がっているそうだからな」
「ならターゲットにされるのも無理ねえな。ところで加代から聞いたが放射性廃棄物の産廃処理場を山に造る計画があるそうだが」
「ああ、内容は加代に話したとおりだ。勇次につなぎつけてもらうよう頼んだ」
 『勇次』とは同じく『仕事人』メンバーの一人、山田勇次のことであり、表向きはピアノの調律師をしていて、近くに引っ越してきたのだめのピアノをよく調整することから広志と直接つなぎをつけることが多い。
「明日が選挙か…奴の政党が勝つとなると壬生国はどうなるんだろうね…」
「さあな、奴等の思うがままというのだけは確かだろ。尤も国民は奴等の裏の顔すら知らねえからな…」
 

 中村が鉄男と話していた数十分後、場所はとあるビル…。
 カイオウの姿はそこにいた、というのは壬生国軍の義勇兵、壬生国議会の議員、市民による反リブゲートゲリラチームを結成し、喪黒福造が暗躍するやいなや行動できる体制を整えていた。
 
「カイオウ様、葉隠先生がいらっしゃっておりますが」
と地下組織のメンバーの一人が彼を呼ぶ。
「何!?あ奴が?…分かった、通せ」
「はい」
 一人の和服姿で初老の男がカイオウのいる事務室に入ってくる。
「お久しぶりですな、カイオウ殿」
「いやいや、うぬがよくここまで訪問してくれたわ」
 カイオウは自ら茶を入れて振る舞う。この男、名を葉隠朧といい、壬生国議会議員でありカイオウ派の重鎮であるのだがカイオウに対してしばしば諫言をしてきた為、他の面々特にリュウオーンから毛嫌いされてきた。だが、カイオウはその諫言を気に入って自らの手元に置いていた。しかし、彼もまた朧の諫言を聞き捨てにしていたことが多かった。
「さて、まずうぬの善意を踏みにじった事に対して一言詫びねばならぬ、すまなかった」
とカイオウは朧に謝罪する。
「いや、私は気にしておりませんよ。昨日あなたからお電話を戴いて互いの真意を知ったわけですから。それよりも今が大事な時です」
「そうか、それならばこの俺も少しは気が晴れるというものだ。ところで何故俺を訪ねてきたのだ?」
「はい、カイオウ殿もご存知の通り、明日の投票ではあの『公平透明党』が勝つことになるでしょう。相当な組織票を買収しているそうですからな」
「うむ、その通りだ。それを見越して俺はそれに対抗する組織を作った」
「実は私もこの組織に参加させていただきたく、貴方の元に参上した次第でして」
「おお、うぬも手を貸してくれるというのか。それは心強い」
「それともう一つ提案がございまして…」
「ほう、何かあるのか?」
「はい、正直言いますとこの方法は取りたくはないのですが…」
と朧は一旦言葉をとぎる。
「どうした、うぬらしくもない。いつも堂々と野望を抱いていたこの俺とラオウを真っ向から諌めていたではないか。かまわぬ、策を示してくれ」
とカイオウは彼に続きを促す。
「では言いましょう、実は我が息子達を使おうと思うのですが…」
「何!?うぬの子息達をだと?」
「はい、我が息子の散(はらら)と覚悟はこの私が武人として鍛え育ててまいりました。二人には『もしこの壬生国いや我が日本連合国に危機迫る時は牙を持たぬ者達を守れ』と常々言い聞かせておりますので」
「……」
「我が子息だけではありません。これは不動にも了解を取り付けますが『逆十字会』もカイオウ殿に協力させようと思いまして」
 朧の言う『逆十次会』、それは彼が設立した教育法人団体であり、『不動』とは彼と共にその法人団体を設立させた不動GENのことである。
「あの団体を…ということはあの学園の生徒達も参加させようというのか」
「はい、但し生徒全員は参加させません。あくまでその中の数名の優秀な者達を彼らの意思で参加させようと思います」
 カイオウはしばし瞑目したが目を開き、
「…分かった、その件はうぬに任せる」
と朧にその案を一任することにした。
「ありがとうございます。ではこれから失礼させていただき、不動に了解を取り付けてまいります」
「分かった、尚うぬの案については俺が全責任をとる。うぬの思うがままにやるがよい」
 
「何!?それは待て、仮にも人を育てることに意欲を注いできた我々が我が校の生徒達をそんなことに参加させていいのか!?」
 朧からの電話を受けた不動は彼の案に懸念を示した。
『不動よ、この私もできればこの策をやりたくはない。お前の言うとおり、我々は未来を担ういや狂人による暗澹たる未来を創らないようにと人を育てる教育機関を作った』
「ああ、分かっているならば何故この策を」
『不動、明日の選挙をどう見る?』
「どう見ると言われても例の政党が勝つことぐらい分かっているではないか」
『その通りだ、だがもしあの党が勝ち政権を握ったらならばどうなる?あの喪黒という男は親米家だからな、奴の政策次第では学園すら危なくなるぞ』
「……」
『我々には子孫に輝かしい未来を残す義務がある。頼む不動、矛盾行為ではあるがこのままでは内乱が起こることもあり得る。起こらないに超した事はないが…』
 不動は数秒間沈黙していたが
「…やむをえないか…分かった。あくまで生徒の意志に任せるというならばいいだろう」
と朧に同意した。
『分かってくれたか、早速だが…』
「分かっている、あくまで数名、それも秘密裏にやろう」
 

「そうか…、ルルーシュと父上の和解の条件は整ったようだな…」
「お兄様が相当苦労された甲斐がありましたわ」
 ここはシュナイゼル・エル・ブリタニアの下院議員事務所。シュナイゼルと妹のナナリー・ランペルージュが話している。
「ガブリエルが私の要求を我慢して受け止めてくれた。ガブリエルには頭が上がらなくなったがな」
「あなたも今回頑張ってくれたじゃない」
 秘書でもありシュナイゼルの妻でもあるガブリエル・リリィ・ブリタニアがナナリーに手を差し出す。
 シュナイゼル達はコーネリアとユーフェミアの二人と協力し、ルルーシュの怒りを父であるシャルルに伝え、シャルルは自らの非を認めた。 だが、信念故に曲げられないものもある。シュナイゼルはルルーシュにこの事を伝え、シャルルの信念が理解できるまで説得したのだった。その苦労もあり、ルルーシュはシュナイゼルの願いを受け入れてシャルルと和解することを決めたのだった。 だが、彼らは知らなかった、壬生国で和解交渉を重ねていたときに自分たちの動きを探る動きがあったことを、そしてその彼らが自分たちに大きな罠を用意して待ち受けていることも…。


「ホーホッホッホ…、不在者投票の組織票は壬生国の過半数を占めましたか」
「はい、おかげでもはや壬生国はどう転んでもあなたのものになります」
 ニヤリとするロン。もはやリブゲート、マードックによる買収攻勢は壬生国の至る所まで隅々まで行き渡る始末だ。
「ハヤタ自動車からも支援が来たのはありがたい限りです」
「当然でしょう。それに、関東連合のギレン議長にはやかましいシュナイゼルについて伝えました」
「ホッホッホッ、さすがに手際のいいことで…、では、いよいよ次の手を打ちましょう」
 喪黒はニヤリとする。
「チーム『ターミネーター』に連絡を入れるのです。そして私が当選した後に壬生国議会の中心人物である黒崎一護と壬生京四郎、藍前議長と吹雪副議長、徳川下院議員、更にはカイオウを抹殺させるのです」
「ソーマという小娘、どうしましょう」
「高野広志を抹殺させるのです。あの男は私の策を見抜いて悉く妨害してきます」
「まさか、アプリコットコンピュータを奴が支援していたときには驚きました」
「ええ、で彼女にはまず先に挙げた連中の始末にも加わってもらいましょう」
 そう、喪黒達は高性能のパソコンを開発したアプリコットコンピュータの乗っ取りを謀ろうとした、従業員を強請ってクレームをつけてパソコンを大量にタダで譲り受けて関東連合のパソコンと交換させて関東連合のパソコンを競争入札で売却した。10億円の借金漬けになったアプリコットコンピュータは破産の危機に陥ったが高野広志が動いてリブゲートの債権15億円を10万円で譲渡し、その上台湾大手のパソコンメーカーまで100万円で買収できるように動いてくれた。そのためアプリコットコンピュータは無事に経営危機を乗り越えたのだった。
 

「そう…、あの男は警備が相変わらず厳しいわよ」
 そのソーマ・ピーリスは携帯電話で話をする。川崎駅前のデパートで彼女は買い物をしているように見せかけていたのだ。
「それで、任務はいつぐらいで?あの男の出入りするカフェが分かったのよ、そこに人員を配置してしまえばあの男は一巻の終わりよ、それから戻るわ」
 彼女が話をしていたのは喪黒の側近だった、だが彼女は知らなかった。自分が成功しても失敗しても始末される運命にあることも、幼馴染で『ソレスタルビーイング』のメンバーであるアレルヤ・ハプティズムが壬生国に来ていて自分を見かけていたことも…。


 そして壬生国議会選挙投票日翌日…。
「結果は喪黒の『公平透明党』が圧勝で、喪黒政権が誕生するのか…」
 広志は川崎のマンションで厳しい表情をしながら話を聞く。
「組織票で大々的に固めたみたい…、とにかく猛烈な勢いでリブゲートが企業買収をしたでしょ」
「ああ…、そこで上から『おい、次回の選挙は喪黒だ』と言われたら何にもなるまい」
「そうなんだよな…、あんたの言うとおりだ」
 苦い表情で久保生公平がぼやく。
「最近、俺の周囲で何か悪意の瞳が感じられる…」
 広志は鋭い目つきで言う。
「この結果についてギアス連合会と連携している日本政友党、連邦党カラバ派、ジオン党シャア・ガルマグループは苦いコメントを出しているようだな」
「ああ…、ご察しの通りだ…。本当にどうなっているんだよ」
 高嶺清麿が苦い表情で話す。
「我が親友であるトレーズからも『壬生国は金だけの国に成り下がってしまった』と嘆きの言葉が来た。まあ、こうなったら奴の悪事のからくりの証拠を突き止めて奴を権力の地位から引きずりおろすしかない」


 場所は変わって名古屋郊外の森にある屋敷『伽羅離(ガラリ)館』…。
「ふん…、馬鹿は自らの殻にあわせて穴を掘ると言うな」
 江島陽介は冷たい声で若い青年に言う。
「僕も同感だ、彼らは救いようがない」
「関東連合議会のギレン・ザビ議長は『壬生国の改革が始まる、努力すれば儲かる仕組みが構築されることを望む』と言っているが実際の関東連合ではあの奇跡の青年がいなければギャンブル国家そのものだ」
「それが改革というのなら、お粗末そのものだな」
 彼らは国連の特殊部隊『ミキストリ』のメンバーだった。壬生タイムズなる新聞にはCP9製薬、マードックからの祝電が堂々と一面に掲載される始末。いかに喪黒一派が壬生国を私物化しているかを物語っていた。
「ケッ、ホント巧言令色ってこういう事を言うんだよな」
と吐き捨てるように言うのはトリニティ三兄妹の次男ミハエル。
「その通りだ、彼らは馬鹿な蟹だよ」
と若い青年が同調する。
「蟹?蟹より酷いぜ、この連中はよぉ」
「なるほど、それは蟹の方が怒るな」
「茹で上がったみたいにか?」
「まあ、そんなところだな」
「アハハハハ、二人とも今のジョーク最高、アハハハハ…」
 青年とミハエルのやりとりを聞いてミハエルの妹であるネーナが大受けして笑う。
「ネーナ、笑いすぎだ」
と嗜めるロキ・スチュアート。
「何よ、折角面白いのにぃ。それにしてもパパ、せめてこんな偏屈な所よりもっとマシな所なかったの?」
「全くだぜ親父ぃ、俺達がここをセッティングするのにどれぐらい苦労したと思ってんだ!?」
「ミハエル、ネーナ」
と二人の兄であるヨハンが嗜める。
「だってヨハン兄ぃ…」
「そうだぜ、兄貴」
「二人ともそう言うな。ここは普段は私の別荘としても使うからな。事実表向きにはそうしてあるわけだがここでなら普段の仕事での喧騒も忘れてリラックスできるだろう」
とロキは文句を言う二人を宥める。
「…そりゃそうだけどよぉ…」
「とにかくだ、今はターゲットの今後の動きを監視することだ。そうだろ、指揮官さん」
「ああ…」
とロキに声を掛けられた陽介は短く答えると新聞に目を戻す、そして呟く。
「だが、おのれらの利益向上はそんな程度では図れない…。精々、喜色満面でほざくがいい…」
 

「クックック、どうやら予定どおりだな」
「ええ、これで壬生国はこちらの影響下に入りますわね」
「そういうことだ」
 サウザーとハルヒは東京の郊外にある関東連合副議長、バロン影山の私邸で当人と話していた。
「ところで反ギレン派は増えているかね?」
「ええ副議長、ティターンズの三輪さんが日本連邦党の人脈を渡り歩いてますわ」
「ほう、ライヤー派を買収しているわけか」
「はい、表向きはジャミトフの手駒になりますけれど」
「そうか、ギレンは『アメリカを手玉に取ってみせる』と大口を叩いたそうだがまさかその自分が我々に手玉に取られようとしているのは分かるまいよ、フフフ…」
 彼らはギレン派であったがギレンの急進的な政策に対し、内心に不満を抱いている議員や軍人を引き抜いてギレンを追い落とし権力を握ろうと野心を起こしていた。特に三輪とハルヒは移民政策に対して自分達の国が移民達によって侵略され、日本という国が滅びるのではないかと恐れを抱いてた。それ故、この政権転覆が成功した暁には移民を徹底的に排除するつもりでいた。それ故に彼らはギレンと共通の取引相手である喪黒に多額の支援を行い、新に成立した喪黒政権を利用しようとしていた…。
 


作者あとがき:今の鳩山政権は自民党政権(特に小泉内閣時)の旧体制を一新しようと政策の仕分けを行っています。しかし、本当に必要な政策だけを選り分けているかはまだまだ不透明なところにあります。真に国民の立場に立った政策の仕分けをして欲しいものです。 さて、遂に喪黒の手中に入ることとなってしまった壬生国はどうなるのか?それは後のお楽しみということで!

今回使った作品
『北斗の拳』:(C)武論尊・原哲夫 集英社  1983
『機動戦士ガンダム』シリーズ:(C)サンライズ・創通エージェンシー 1979・1986・1995・2007
『笑ゥせえるすまん』:(C)藤子不二雄A  中央公論社  1990
『涼宮ハルヒ』シリーズ:(C)谷川流  角川書店   2003
『金色のガッシュ!!』:(C)雷句誠  小学館  2001
『HERO』:(C)フジテレビ 脚本:福田靖・大竹研・秦建日子・田辺満  2001
『必殺』シリーズ:(C)朝日放送・(株)松竹京都撮影所 1975
『ミキストリ‐太陽の死神‐』  (C)巻来功士  1990
『Τ(タウ)になるまで待って』 (C)森博嗣  2005
『電脳警察サイバーコップ』:(C)東宝  1988
『のだめカンタービレ』:(C)二ノ宮知子  2001
『闘将ダイモス』:(C)東映・東映エージェンシー 1978
『コードギアス 反逆のルルーシュ』:(C)日本サンライズ・コードギアス製作委員会  2006
『覚悟のススメ』:(C)山口貴由 秋田書店 1994
『創聖のアクエリオン』:(C)河森正治・サテライト 2005
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』:(C)東映 2007
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